映画や歴史に登場する料理の再現度を高めるべく、新旧の料理本や世界のレシピサイトを日々調べまくっている再現料理マニアが、作りやすくイギリスらしい家庭料理をご紹介。
イギリス料理として有名なもの・伝統的なものを選び、日本で珍しい材料は入手しやすい食材にチェンジ。でも元々の料理の特徴や雰囲気は残すようレシピを調整しています。英国の食文化を感じられる、おうちごはんで作りやすいレシピをどうぞ。
おうちで作れるイギリス料理10選
スコッチブロス
夕食向け
スープ
ラム肉
ボリュームのあるスープが飲みたいなら、ラム肉にたっぷりの野菜、豆に押し麦が入ったスコッチブロスはぴったり。
ラム肉はスープに入れる前にしっかり焼き色をつけ、ハーブ類、特にタイムは省略せず加えるのが美味しく作るコツかなと思います。
ハーブとラムお互いの個性がうまく調和して、クセをたまらない美味しさに変えてくれますよ。
スコッチブロスの材料(4人分)
ラムブロック_150g
にんじん_1/2本
セロリ_1/2本
玉ねぎ_中1/2個
キャベツかケール_キャベツなら3-4枚(100g程度)
冷凍グリーンピース_50g
押し麦_大さじ3(30g強)
白ワイン_大さじ1
コンソメキューブ_1個
ドライタイム_2つまみ
ローリエ_1枚
パセリ(仕上げ用)_適量
塩こしょう_適量
スコッチブロスの作り方
- 玉ねぎ・にんじん・セロリはさいのめ切り、キャベツは一口大にカットしておく
- ラムブロックは一口大にカットし、塩こしょうをしてフライパンで焼き色を付けておく
- 深鍋にサラダオイルを引き、中火で玉ねぎ・にんじん・セロリ→キャベツの順に炒める
- 野菜がしんなりしたらラム肉・押し麦・タイム・ローリエ・白ワイン・コンソメを加えて一混ぜし、具材が被るくらいの水を加えて中火にかける
- 沸騰したらアクをすくい、弱火に落として30分ほど煮込む
- グリーンピースを凍ったまま加えて5分ほど煮れば出来上がり。塩こしょうで味を整え、パセリを振りかけて召し上がれ
シェパーズパイ
夕食向け
じゃがいも
挽き肉
ハリーポッターシリーズなどでもお馴染み、シェパーズパイもイギリスらしい一皿ですね。
パイ生地の代わりになめらかなマッシュポテトを載せて焼き上げたパイは、お肉も野菜もたっぷり。食べ応え満点です。
キャセロールや大きなグラタン皿などで作れば見映えもよく、子どもたちが集まるホームパーティーの席でも喜ばれること間違いなしのはず。
ハリーポッターと秘密の部屋|魔法魔術学校風シェパーズ・パイ
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クランペット
朝食・おやつ向け
パンケーキ
ぽこぽこ穴の空いた見た目が面白いクランペットは、イーストで発酵させた生地を使うパンケーキの一種。
欧米で「Flour(小麦粉)」といえば中力粉のことを指しますし、強力粉だけだと弾力が出すぎ・薄力粉だけだとふわふわすぎてクランペットとしては物足りない……という感じになるので、2つをミックスして作るのがおすすめです。
焼き上がりにはバターを塗って、ぽこぽこの穴にシロップをたっぷり染み込みこませて召し上がれ。
クランペットの作り方
- ボウルに強力粉・薄力粉・塩を入れ、よく混ぜておく
- 牛乳を600Wのレンジで30秒ほど加熱して人肌程度にし、砂糖・ドライイーストを溶かす
- 1に牛乳を注いでよく混ぜ、ラップなどで蓋をして40分−1時間ほど置いて発酵させる
- 生地が倍以上の高さに膨らんだらフライパンでバターを熱し、サラダ油を塗ったセルクルに流し入れる
- 蓋をして中火で3分・蓋を外して裏に返し、3分ほど焼き上げれば出来上がり
トードインザホール
夕食・おつまみ向け
卵
ソーセージ
「穴の中のひきがえる」というなんともユニークな名前のこちら。
イギリスの日曜日のごちそう、ロースト料理のサンデーローストに添えられるヨークシャープディング生地に、ソーセージが埋まったキッシュのような料理です。
ソーセージの塩気があるので、グレイビーソースの塩加減はあまり強くしないのが個人的にはおすすめ。お好みに合わせて調整してくださいね。
トードインザホールの材料(φ26cmのキャセロール1個分)
- ヨークシャープディング生地用
卵_2個
ウィンナーソーセージ_8本(160g程度)
ほうれん草_1-2株(40g程度)
小麦粉_100g
牛乳_1カップ
サラダ油_大さじ1
- 簡単グレイビーソース用
玉ねぎ_1/4個
コンソメキューブ_1/2個
マスタードもしくは練りからし_小さじ1
ウスターソース_小さじ1
片栗粉_小さじ1
水_150ml
トードインザホールの作り方
- ヨークシャープディング生地の準備
- オーブンは220℃で予熱しておく
- ほうれん草は熱湯で30秒ほど茹でて冷水に取り、水気を切って刻んでおく
- ボウルに卵を入れて溶きほぐし、牛乳と合わせておく
- 3に小麦粉を加え、泡立て器で攪拌する。ダマなく混ざったらほうれん草を加えておく
- フランパンでサラダ油を熱し、中火でウィンナーソーセージに焼き目をつける(後でグレイビーを調理するため、フライパンは洗わずそのままで)
- 大きめのグラタン皿やキャセロールなどにソーセージを並べ、プディング生地を流し入れてオーブンの中段で30分ほど焼き上げる
- 簡単グレイビーソースの準備
- 玉ねぎは薄くスライスし、コンソメは水で溶かしておく
- ソーセージを焼いたフライパンで玉ねぎを濃いブラウンに色づくまで炒める
- 一旦火から下ろして片栗粉・マスタード・ウスターソースを混ぜてひと混ぜし、コンソメを溶かした水を加えてとろみがつくまで煮れば出来上がり
ローストポーク
おもてなし向け
ロースト料理
豚肉
イギリスの日曜日のご馳走といえば、丸鶏や豚や牛の大きな塊肉を焼いたロースト料理をいただくサンデーローストが定番。映画やドラマなどでも、大きなローストチキンを家族で囲んでいるシーンはよく登場しますよね。
丸鶏はサーブするのが少し大変ですが、ローストポークなら切り分けるのも難しくありません。
焼き加減が難しいロースト料理も、オーブンペーパーで包み焼きするこのレシピなら失敗しにくいはず。水分を逃さず、しっとりジューシーに仕上がります。
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バブルアンドスクイーク
夕食・おつまみ向け
じゃがいも
残りもの消費
じゃがいもと残りもの野菜、ハムやベーコンなどがあれば作れるイギリスのお好み焼き的なバブルアンドスクイーク。
サンデーローストの残りものを上手く消費するために考えられたものが原型で、食糧難の続いた第二次大戦下でも比較的入手しやすかったじゃがいもを加えたバージョンが、現在は一般的となっているようです。
日本のお好み焼きと同じく、イギリスではどのご家庭でも常備されているHPソースをかけて食べることが多いそう。中濃ソースやウスターソースでも、もちろん美味しくいただけます。
バブルアンドスクイークの材料(2人分)
じゃがいも_中2個
キャベツやブロッコリー・にんじんなどの残り野菜なんでも_200gほど
ベーコンやソーセージ・ハム・サラダチキンなどの肉類_50gほど
牛乳_大さじ2
パセリやオレガノなどお好みのハーブ_適量
塩こしょう_適量
バター_適量
バブルアンドスクイークの作り方
- じゃがいもは皮を剥いて1cm幅程度の半月切り、野菜と肉類はみじん切りにしておく
- 大きめの耐熱ボウルに大さじ1杯程度の水とじゃがいもを入れてラップをし、600Wのレンジで5-6分ほど加熱する
- じゃがいもに火が通ったらマッシャーで滑らかになるまで潰し、牛乳も加えてマッシュポテトにしておく
- 3に残りの材料を全て入れ、よく混ぜ合わせる
- フライパンでバターを熱し、直径15cm程度の大きさに広げた生地を、中火でヘラなどで押し付けながら両面をこんがり焼き上げれば出来上がり
ウェルシュレアビット
おつまみ向け
パブ料理
チーズトースト
ウェルシュレアビットは、ビール入りでコクのあるチーズソースをかけたトースト。
パブ料理としても定番のこちらは、アガサ・クリスティの小説にも登場しています。
チーズトーストというと朝食のイメージがありますが、黒ビールやタバスコも入るスパイシーな味わいでおつまみ向け。バゲットなどで小さめに作るのもおすすめです。
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アガサ・クリスティーのトミーとタペンス|ウェルシュ・レアビット
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マッシーピーズ
付け合わせ
グリーンピース
緑色が鮮やかなこちらは、いわばマッシュポテトのグリーンピース版。
パブなどではフィッシュ&チップスの添え物として定番ですが、肉料理、特にローストポークやチキンなどの付け合わせにするのもアリかなと思います。
バターや牛乳のまろやかさで豆の甘さが引き立ち、とても優しいお味。豆の食感を残すため、フードプロセッサーよりマッシャーで潰すのがおすすめです。
マッシーピーズの作り方
- 耐熱ボウルにグリーンピースを凍ったまま入れ、ラップをして600Wで5-6分ほど加熱する
- マッシャーでしっかりと潰し、バター・牛乳を加え、塩こしょうで味を整えれば出来上がり
ティーサンドウィッチ
ランチ・軽食向け
サンドウィッチ
イギリス人の国民食ともいえるサンドウィッチもイギリスらしい一皿。
ランチだけでなく夕食のメニューとしても登場しますし、きれいに切り揃えられたティーサンドウィッチなどは、フォーマルなお茶会の席でもよく食べられています。
きゅうりを挟んだサンドウィッチは日本でも定番ですが、ひと手間加えると「きゅうりサンドってこんなに美味しかったの?!」と驚く美味しさに。サンドウィッチをつまむ手が止まらなくなるかも?
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エセルとアーネスト ふたりの物語|VEデーのティーサンドウィッチ
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カレンスキンク
夕食向け
白身魚
ミルクスープ
カレンスキンクは白身魚にじゃがいも・かぶなどを加え、牛乳で煮込むスコットランドのスープ。ポテトはマッシュしたものを使うレシピもよく見られ、具材の形がなくなるまで煮込むことも多いようです。
本来のカレンスキンクには小ダラの燻製であるスモークハドックを加えますが、日本では手に入りにくいため、今回は燻製塩で下ごしらえしたタラで代用。
ほんのりスモークの風味が感じられる、一味違ったミルクスープを味わえますよ。
カレンスキンクの材料(3-4人分)
- 燻製風味タラ用
タラやカレイなどの切り身_150g
燻製塩_小さじ1/2
砂糖_小さじ1/2
- ミルクスープ用
じゃがいも_中1個
かぶ_1個
たまねぎ_1/2個
水_2カップ
牛乳_1+1/2カップ
バター_10g
ローリエ_1枚
塩こしょう_適量
あさつきかパセリ_適量
カレンスキンクの作り方
- 燻製風味タラの準備
- タラはさっと洗って水気をキッチンペーパーなどで拭き取り、切り身の両面に砂糖と燻製塩をすり込む
- キッチンペーパーで1をくるんでからラップで包み、半日ほど冷蔵庫で漬ければ完成
- ミルクスープの準備
- たまねぎ・じゃがいも・かぶはさいのめ切り、燻製風味タラは一口大にカットしておく
- 深鍋でバターを温め、中火で玉ねぎ→じゃがいも・かぶの順に炒める
- 野菜がしんなりしたら、水・ローリエを入れ一混ぜして中火にかける
- 沸騰してきたら牛乳とタラを加えて蓋をし、弱火に落として40分ほど煮込む
- じゃがいもやかぶの形が崩れ、ほろほろっとしてくれば出来上がり。塩こしょうで味を整え、刻んだあさつきを振りかけて召し上がれ