ジョニー・デップの存在感も光る、チョコレートにまつわる素敵なおとぎ話『ショコラ』から再現するのは、チョコレートソースでいただくローストビーフ。
カカオの香る奥深い味わいのソースは、心をとろかす魔法のような味わい。バレンタインや、ホワイトデーのおもてなしにもぴったりです。
誕生日のお祝いを彩った素晴らしいごちそうとは
艶やかなチョコレートソースたっぷりのロースト料理!
今回再現する料理は、主人公のヴィアンヌたちが家主の老婦人・アルマンドの誕生日のために用意したごちそうの一つ。
堅いしきたりに縛られた村人たちと打ち解けるため、アルマンドが自分の70歳の誕生祝いを口実にしなさいよ……とのことで催されたパーティーでのごちそうですね。
陽の光がさんさんと差し込む素敵なガーデンパーティーのテーブルには、芳しいココアパウダーをスパイスとして加えたエビのお料理などをはじめ、チョコレートを使った香り豊かなごちそうがずらり。
中でも目を引いたのが、きらめくように艶やかなチョコレートソースをたっぷりかけた、羊や七面鳥などのロースト料理でした。
頑なだった村の人たちも、素晴らしい味わいにはうっとり夢心地。思わず顔がほころんでしまいます。誰もがチョコレートの幸せな魔法に心をとろかされていた様子が印象的でした。
材料・調理法の考察
チョコレートを使ったお料理は個性的なものに思えますが、何も劇中だけに登場する創作料理という訳ではありません。
メキシコには昔から、チョコレートを使ったソース「モーレ」でいただく肉の煮込み料理がありますし、焼いた鹿や鴨などのジビエにチョコレートソースを合わせるのも、古典的な組み合わせとして存在しています。
また、ここ最近だと料理にチョコレートを使うトレンドが2015-16年にかけてあったようで、「米国料理界のアカデミー賞」と言われるジェームズ・ビアード賞を設立したビアードのレストランでも、カカオデミグラスソースがけのスモークビーフやチョコレートソースで風味を付けたアヒルのローストなど、チョコレートを使ったメニューが多数登場。
映画『二ツ星の料理人』で料理のチーフコンサルタントを務めた二つ星シェフ、マーカス・ウェアリングによるチョコレートガナッシュ添え鹿肉ローストのレシピが公開されたり、有名グルメ雑誌サヴールでもチョコレート料理の特集記事が組まれたりと、何かと注目されていたようです。
「チョコレート=甘いお菓子」のイメージがどうしても強いので、人によっては料理に使うのに抵抗感があるかもしれませんが、チョコレートも元はと言えば豆からできた食べ物。
カカオ含有量70%程度のダークチョコなら甘さも抑えられているから料理に取り入れやすいですし、チョコレートにはナッツのような香ばしい香りのピラジン類をはじめ数百種類もの香気成分が含まれているため、スパイス的に使うと面白い効果が出ます。
物語に登場するアルマンドも「石頭はいけないよ」と繰り返し言っていましたし、チョコレートの魔法を信じて、たまには味の冒険をしてみるのも悪くない。
チョコレートを加えたしっかり味のソースには劇中に登場した羊や七面鳥のローストのほか、肉本来のうま味が濃い牛肉もぴったりですから、今回は赤身肉の代表格・牛もも肉のブロックを作ってチョコレートソースと合わせてみましょう。
参考:https://wtop.com/food-restaurant/2015/12/food-trends-to-look-for-in-2016-and-what-was-big-in-2015/
https://www.greatbritishchefs.com/recipes/venison-chocolate-recipe
https://www.customs.go.jp/ccl_search/e_info_search/organics/r_27_06_e.pdf
チョコレートソース添えのローストビーフを作ってみよう
ショコラ|チョコレートソースを添えた幸せのローストビーフ
材料(3-4人分)
- ローストビーフ用
牛ももブロック肉_500g
にんにく_1片
☆塩_小さじ1/2
☆粗挽き黒こしょう_小さじ1/4
☆ローズマリー_小さじ1/4
- チョコレートソース用
カカオ含有量70%程度のダークチョコレート_20-30g(風味づけ程度なら20g、よりしっかりカカオを感じたいなら30gがおすすめ)
玉ねぎ_1/2個
にんにく_1片
水_150ml
赤ワイン_1/2カップ
バター_20g
ローリエ_1枚
コンソメキューブ_1/2個
塩こしょう_適量
作り方
- ローストビーフの準備
- にんにくはスライスし、☆の材料は混ぜてハーブ塩を作っておく
- 牛肉にハーブ塩をすり込み、にんにくスライスを両面にまぶしてラップで包み、常温で1時間ほど下味を付ける
- オーブンを110℃で予熱しておく
- フライパンでオリーブオイルを温め、強めの中火で表裏2-3分ずつ、両サイドも2分ずつほど加熱して焼き色を付ける
- 天板に肉を置き、オーブンの中段でまず15分、裏に返して15分ほど焼く
- 焼き上がったらアルミホイルに包み、最低30分以上休ませ肉汁を落ち着かせたら出来上がり
- チョコレートソースの準備
- 玉ねぎ・にんにくはすりおろすか、ごく細かなみじん切りにしておく
- ソースパンでバターを熱し、弱めの中火で玉ねぎを10分ほど炒める
- 玉ねぎが軽く飴色に色づいたらワインと水・コンソメ・ローリエを加え、沸騰したら弱火にして15分ほど煮る
- チョコレートを割りながら加えて溶かし、塩こしょうで味を整えたら完成
ポイント
- 渋みや苦みが立ってしまうので、チョコレートはカカオ含有量70%程度のものを使うのがおすすめ。同じ理由で赤ワインもフルボディではなく、若め・軽めのものが向いていると思います。
- ローストビーフの理想的な中心温度は好みによっても異なるものの、おおむね55℃以上60℃未満であれば失敗も少ないようです。加熱が十分かの確認については料理用の温度計を使うのが確実ですが、無ければ金串か竹串を使うのが便利。焼き上がった肉の中心に10秒ほど深く串を刺して引き抜き、唇に当てて温かく感じられるようならOKです。
食後のヒトコト
バターで炒めた玉ねぎでコクのある赤ワインベースのソースに、チョコレートの香りと甘み、ほのかな苦味が加わって奥深い味わい。
カカオの味と香りは感じますが、チョコレートが悪目立ちすることもなく、しっかりお肉のソースとして成立しています。
チョコレートが複雑な味わいを加えてくれるだろうなと、ある程度見当は付けていましたが、正直予想以上。
シンプルにローズマリーとにんにくで風味づけしたローストビーフとの相性も抜群で、村人たちが口の周りにソースが付くのも構わず、うっとり味わっていたのもうなずけます。
個人的に、ローストビーフのソースはグレイビーかわさび醤油がツートップだと思っているんですが、今回のソースもこの2つに並びそう。
バレンタインやホワイトデーのおもてなしにもぴったりだと思いますので、ぜひ一度お試しくださいませ。
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なお、ローストビーフについてはごく一般的な作り方なので、肉をローストする際に出る肉汁を使えばグレイビーソースも作れます。
チョコレートソースだけでなく、グレイビーソースも一緒に味わいたい方は上記の記事も参考にどうぞ。