木皿に盛り付けたホルガ村風サラダ

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ミッドサマー|ホルガ村のサラダ

今回作るのは、映画『ミッドサマー』の舞台となるホルガ村で主人公たちが食べる料理。

衝撃的な儀式「アッテストゥパン」前に振るまわれる一皿とは……?

ホルガ村で主人公たちが食べる料理とは

アッテストゥパン前に振るまわれる意味深なサラダ

さてさて、今回再現を試みるのは、スウェーデンの僻地にある村・ホルガに到着した主人公たちが最初に口にする食事。

ネタバレになるので詳しくは触れませんが、作中でも特に衝撃的な儀式「アッテストゥパン」前の会食で出される一皿です。

劇中ではっきりお皿の中身が映るシーンは無いものの、本作のフードスタイリスト、ゾーイ・ヘゲダスのインタビューが掲載されたEATERの記事には、その全容がよく分かる写真が掲載されています。

記事中の写真を見ると卵の黄身を中心に、円環状に真っ赤な色が特徴的なビーツ・茹でてほぐした卵の黄身・みじん切りの白身、一番外側に輪切りのネギを配したサラダといった印象。

ミッドサマーの舞台であるホルガは北欧の土着信仰が色濃く残る村という設定で、北欧神話に由来する風習が登場したり、ルーン文字をあしらったモチーフがあちこちに見られるため、これにもきっと意味がありそう。

この円環構造、ファンタジーものなどでもおなじみの北欧神話の世界構成図に似ているなあ……。

北欧神話の円環構造を表す図

世界樹ユグドラシルを中心に神々が住まうアースガルド、周りを囲むように人間の世界・ミッドガルドと巨人の世界・ヨツンヘイム、その外側を海が取り囲んでいる……というやつ。

円環構造が特徴的ですし、卵は北欧でも復活や生命の象徴として根付いていたはず。おそらく間違いないと思います。

ネギについては東洋でも西洋でも精がつくものとして知られていますし、ビーツにいたっては古代ローマの時代、媚薬として扱われていたこともある野菜。

まあなんというか、意味深なサラダだなあと。

ビーツを使った料理といえば、ボルシチも有名ですね。

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材料・調理法の考察

刻んだリーキ

素材をリング状に並べただけなので、今回特に作り方といったものも無いのですが、まわりのネギがちょっと気になる。

写真などを見るかぎり、全く味つけをしていない生のネギの輪切りを載せただけのようなんですね。

一見すると長ネギの輪切りに見えますが、作品の舞台であるスウェーデンに日本の長ネギはないため、これはおそらくリーキ。

西洋の長ネギ・リーキには強い辛みが無いのでそのままサラダでも無理はないかもしれませんが、日本の長ネギを同じように使っちゃうと結構きつい味になります。

左がリーキ、右が長ネギ。太さは1.5倍ほども違います

個人的な事情ですが、生のネギは身体にあまり合わないのでたくさん食べると気持ち悪くなるし嫌だなあ……。

長ネギは辛みの穏やかな葉ネギに変えるとして、私のようにネギが苦手な人でも美味しく食べられる方法はないものか。

というわけで考えました。

ホルガ村でもしていそうな味つけで料理すればいいじゃないか。

北欧っぽさがあって、古来の風習に縛られた村でも作っていそうで、かつネギの辛みを抑えてくれそうなもの。

ディルとにんにくで風味づけしたきゅうりのピクルス

スウェーデンといえばディルの香りがする甘めのディルピクルスが有名なので、ピクルスなんていいかもしれない。

ネギにさっと絡める程度の浅漬けにすればサラダとしてたくさん食べられるだろうし、まわりの卵やビーツにも合いそう。

残りのピクルス液は好きな野菜を漬けて楽しめそうだし一石二鳥。これでいきましょう。

ホルガ村のサラダを作ってみよう

生の卵黄・ビーツ・刻んだゆで卵・ネギのホルガ村風サラダ

ミッドサマー|ホルガ村のサラダ

材料(2人分)

  • スウェーデン風ピクルス液用
  • 酢 80ml

  • 砂糖 大さじ3

  • 塩 小さじ1

  • ドライディルウィード 小さじ1/4

  • マスタードシード 小さじ1/4

  • きゅうりやセロリなど好みの野菜 適量(きゅうりなら3本ほど漬けられます)

  • サラダ用
  • 卵 4個

  • ビーツ(水煮もしくは下茹でしたもの) 1/4株分(50g程度)

  • わけぎや万能ネギなどの葉ネギ 1/2束

  • ピクルス液 小さじ2

作り方

  • スウェーデン風ピクルス液の準備
  • 耐熱容器に酢と砂糖・塩を入れて溶かし、600Wのレンジに1分ほどかける
  • 1にディルとマスタードシードを加えてひと混ぜし、小さじ2杯分取り分けておく(サラダ用)
  • フリーザーバッグに野菜を入れ、熱いうちにピクルス液を回しかけて密封する
  • 冷蔵庫で保存し、半日ほど漬ければ出来上がり
  • サラダの準備
  • 葉ネギは小口切り、ビーツは角切りにしておく
  • 卵2つは生のまま黄身と白身に分けておき、残り2つはゆで卵にしておく
  • ゆで卵の黄身と白身を分け、黄身はほぐし、白身はみじん切りにする
  • 葉ネギにピクルス液を絡め、よく混ぜる
  • 皿の中心に卵の黄身、そのまわりにビーツ・ほぐした黄身・刻んだ白身・ネギの順番にリング状に配置すれば完成

ポイント

  • ピクルスについてはフリーザーバッグで簡易的に漬ける方法なので、長期保存には向きません。冷蔵庫保存で1週間を目安に食べきりましょう。

食後のヒトコト

北欧神話の円環構造を思わせるサラダの盛り付け
見た目は悪くなりますが、
このサラダはよく混ぜて食べるのがおすすめ

スウェーデン風の甘いピクルス液のおかげで、ネギが格段に食べやすくなってる!

生ネギが苦手な私でも大丈夫なので、好きな人なら特に美味しくいただけるんじゃないでしょうか。

ただ、美味しいとは言っても正直なところほぼ素材の味ですから、もう一度作りたいかと問われると「……。」という感じではあります。

盛りつけにしても、使われている素材的にも儀式めいた要素が強いので味は二の次なんだと思いますが、ゆで卵をほぐしたりビーツを用意したりの手間も地味にめんどくさい。

その割に得られるのが「ザ・素材の味」のため、おすすめはしにくいメニューです。

映画を観たことのある人なら「ホルガ村のサラダだ!」と一発で分かるビジュアルなので、サプライズとして出すならあるいはアリかもしれません。

それにしても、このサラダが出される前日の夜にはもう「アッテストゥパン」の話をしているのに、民俗学専攻の彼はよくホルガで食事する気になったなあ。

常識が通じない相手は何がトリガーでこちらに危害を及ぼしてくるか分からないので、食事どころか何も告げずこっそり村を離れるのが得策なのでは……。

でも、そうなると話が終わっちゃいますね。

ホラー映画の登場人物になるのも適性があるなと思いつつ、今回もごちそうさまでした。

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  • この記事を書いた人

宵闇

作者の心情や時代背景などを頭でっかちに考察しつつ、物語や歴史に登場する料理を作っています。お仕事のご依頼等については、お問い合わせフォームもしくはinfo@saigengohan.comよりどうぞ。

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