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レモニー・スニケットの世にも不幸なできごと|ボードレール姉弟のパスタ・プッタネスカ

レモニー・スニケットによる人気シリーズ『世にも不幸なできごと』を元とした映画やNetflixのドラマ版が有名な本作から再現するのは、劇中に登場する「パスタ・プッタネスカ」。

ボードレール姉弟のような料理初心者さんでも簡単に作れる、本格的な味わいのパスタです。

ボードレール姉弟が作ったプッタネスカとは

「娼婦風」の名がついた、ごくシンプルなパスタ料理

両親を失い孤児となったボードレールの子どもたちが引き取り先のオラフ伯爵の家で作っていたのは、イタリア料理の一種「パスタ・プッタネスカ(娼婦風パスタ)」。

Netflixのドラマ版では「にんにくと玉ねぎを炒めて、オリーブとケイパー、アンチョビ、刻んだパセリとトマトを入れて煮たもの」と説明されている通り、ごくシンプルなソースをかけたパスタ料理です。

料理名の由来には諸説あるようですが「時間に余裕のない娼婦がありあわせの材料で作ったもの」などと言われるように、少ない材料で時間をかけず作れるのがポイント。

材料を細かく刻む手間はあっても複雑な作業はないため、たしかにこれなら料理経験のない子どもたちでも無理なく作れるでしょうね。

材料・調理法の考察

再現する料理はプッタネスカと決まっているものの、今回ちょっと注目したいのが「ボードレールの子どもたちがなぜこの料理を選んだのか?」という点について。

原作ではさらっと、オラフ伯爵のお向かいさんであるストラウス判事の図書室で「料理本」を参考にしたからとされていますが、ドラマ版では判事の素敵な図書室のシーンがしっかり登場。

長女のヴァイオレットが手に取った本から、彼らが参考にした本のタイトルを確認することができます。

そのうちの一冊がこちら。1931年に発行されてから重版を重ね、現在に至るまで売れ続けている超ロングセラーの料理本「Joy of Cooking」です。

ドラマに登場したのは、背表紙のデザインからおそらく1975年発行の第6版。なので時代設定も75年以降ということになるのかな?

大恐慌時代に「料理初心者でも一般的な家庭料理を失敗なく作れるように」と考えて書かれた本書は自費出版から始まったもので、野菜や肉類の扱い方やテーブルセッティングの方法などの基礎の基礎から、なんと狩猟によって得た野鳥やクマ(!)の調理法まで掲載されているという充実ぶり。

単なるレシピ本というよりは食にまつわる総合的な知識を得られる百科事典という立ち位置なので、ボードレール家の3姉弟のように料理をしたことのない子どもたちでも安心。

プッタネスカソースに必要な材料や手順はもちろん、パスタの茹で方も懇切丁寧に解説されているため、なるほどこれなら失敗なく作れそうです。

「BRAISED BEAR=クマの煮込み」の作り方もばっちり
参照:Irma S. Rombauer, Joy of Cooking(Scribner, 2019)

それにしても料理本についても充実したストラウス判事の蔵書から、さっと教科書的な本を探し出して参考にできるあたり、ボードレールの子どもたちはさすがだなあ。

自分のレベルに合った本を選ぶのは時に大人でも難しいことなので、いかに彼らが賢いのかが分かりますね。

ということで今回は「Joy of Cooking」も参考にしつつ、一番詳しく料理風景を描いているNetflix版に倣って「にんにく・玉ねぎ・オリーブとケイパー・アンチョビ・刻んだパセリとトマト入りの」プッタネスカを作ってみましょう。

参考:https://www.bonappetit.com/story/vintage-joy-of-cooking-cookbook-shopping

https://openlibrary.org/works/OL267968W/The_JOY_OF_COOKING?edition=ia:joyofcookingcomp00romb

パスタ・プッタネスカを作ってみよう

レモニー・スニケットの世にも不幸なできごと|ボードレール姉弟のパスタ・プッタネスカ

材料(2人分)

  • スパゲティ_200g程度

  • トマト缶_1/2缶(200g程度)

  • 玉ねぎ_1/4個

  • にんにく_1片

  • ブラックオリーブ_8粒程度

  • アンチョビ_フィレ3枚

  • ケイパー_小さじ2

  • パセリ_1枝分

  • オリーブオイル_大さじ2

  • 鷹の爪_1本

  • 塩こしょう_適量

  • トッピング用
  • ブラックオリーブ_6粒程度

  • パセリ_お好みで

作り方

  • オリーブ・玉ねぎ・にんにく・アンチョビ・ケイパー・パセリはそれぞれみじん切りにしておく
  • フライパンでオリーブオイルを温めて鷹の爪とにんにく・玉ねぎを入れ、弱火で炒める
  • 玉ねぎがしんなりしたらオリーブ・ケイパー・アンチョビ・パセリを加えて1分ほど炒め、トマト缶を加える
  • 沸騰してきたら火を弱め、5分ほど加熱して軽く煮詰まればソースの完成
  • 仕上げ
  • パッケージの表示時間より少し短めに茹でたスパゲティを加えてよく和え、塩こしょうで味を整える
  • パセリを散らし、半分にカットにしたブラックオリーブを飾れば出来上がり

ポイント

  • ボードレール姉弟風ではないプッタネスカを味わいたいなら、玉ねぎ抜きで作るのがおすすめ。このレシピから玉ねぎを抜いても何も問題なく作れます。

食後のヒトコト

一般的なプッタネスカのレシピで玉ねぎ入りはあまり見ないので、Netflix版ならではの演出なんでしょう。

原作や映画版のプッタネスカにはないNetflix版ならではの「玉ねぎ入りプッタネスカ」は、にんにく・アンチョビにブラックオリーブのコク、ケイパーのアクセントも加わったトマトソースが奥深い味わい。

ただ玉ねぎが入っている分、一般的なプッタネスカよりもパンチはかなり弱いように感じます。良くいえばマイルド、悪くいえば少しぼやけた印象といったところでしょうか。

味見をしたボードレールの子ども的には食べやすくてアリかもしれないけれど、大人、特に刺激的な味を好みそうなオラフ伯爵にはどうだっただろう……?

パンチのある味を期待すると少し物足りないので、劇中で伯爵がローストビーフが良かったと文句たらたらだったのも、ある意味で仕方がないことだったかもしれません。

それはそうと、『レモニー・スニケットの世にも不幸なできごと』には、プッタネスカの他にも印象的なお料理がたくさん登場します。

どれもユニークなエピソードが詰まった魅力的なお料理なので、これらもまた別の機会にご紹介したいなと考えつつ、今回もごちそうさまでした。

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  • この記事を書いた人

宵闇

作者の心情や時代背景などを頭でっかちに考察しつつ、物語や歴史に登場する料理を作っています。お仕事のご依頼等については、お問い合わせフォームもしくはinfo@saigengohan.comよりどうぞ。

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