ローストビーフやチキンなどのロースト肉に焼いたポテトやにんじん等の根菜類、さっくり軽くふわっとしたヨークシャープディング、それらにたっぷりのグレイビーソースをかけていただくローストディナーはイギリスの国民食。
伝統的に日曜日のごちそうとして食べられるためサンデーローストと呼ばれる食事の中でも、ヨークシャープディングは特に欠かせない存在として知られています。
牛乳と卵で溶いた小麦粉の生地をカンカンに熱した油に流し込み、高温のオーブンでふんわりサクッとシュー皮のような食感に焼き上げるヨークシャープディングは、これがなければローストディナーが完成しないとする英国人もいるほど。2023年に行われたアンケート調査でも、イギリス人が好む郷土料理の堂々第一位にランクインする人気ぶりです。
現在のヨークシャープディングはマフィン型などで一人分ずつ焼くスタイルが一般的ですが、この料理がヨークシャープディングと呼ばれるようになった18世紀当時のイギリスでは浅い金属の缶などで大きく焼き、ナイフで四角に切り分けて食べていたそう。
なお、なぜ「ヨークシャー」の名を冠しているかについては諸説あってはっきりしていませんが、起源とされる料理については炉の上で焼いた肉から滴る脂や肉汁(ドリップ)の受け皿に生地を直接流し込んで作る「ドリッピングプディング」だと言われています。
この「ドリッピングプディング」の作り方を改良し、自身の著作で「ヨークシャープディング」としてレシピを紹介したのが18世紀の料理家Hannah Glasse(ハナー・グラス)なんだとか。

参照:https://archive.org/details/artofcookerymade00glas/page/68/mode/2up?ref=ol&view=theater
今回はそんな昔ながらの作り方に倣い、大きな型でヨークシャープディングを作ります。大きく焼くので切り分けていただくのはもちろん、真ん中のくぼみにローストしたお肉や野菜を盛り付けてどーんとサーブする……なんてこともできますね。
高温でしっかり膨らんだプディングは焼き上がってもしぼまないので、肉をローストする前に作っておくのがおすすめ。お肉をサーブする直前に軽くトーストしてあげれば、サクサクふわふわ熱々に。グレイビーソースをたっぷり浸すようにかけていただくと、間違いなく口の中が幸せでいっぱいになりますよ。
材料と作り方
ローストビーフの付け合わせにおすすめ!|大きな大きなヨークシャープディング
今回のレシピでは、20×15×高4cmの型を使用しています
材料(2人分)
薄力粉もしくは中力粉_80g
牛乳_80ml
水_50ml
卵_1個
塩こしょう_適量
サラダ油_大さじ2
作り方
- オーブンを220℃で予熱しておく
- サラダ油以外の材料をボウル(注ぎ口の付いたボウルなどがベスト)に入れ、ダマがなくなるまで泡だて器でよく混ぜる
- 金属製のケーキ型やホーローのバットなどにサラダ油を入れ、オーブンで10分加熱する
- 焼き型をオーブンから取り出し、プディング生地をかき混ぜながら素早く注ぎ入れる
- オーブンの中段にセットし、25-30分ほど焼く
- 焼き色がついたら熱いうちにオーブンから出し、上下を返してキッチンペーパーなどでしっかり油を切れば出来上がり
ポイント
- ケーキ型を使う場合はシリコンやガラス製ではなく、熱伝導率の高い金属製の型がおすすめです。
- 焼き型は油を注いだ状態でしっかり熱しておくこと、生地を流し込む際は温度が下がらないよう素早く作業すること、生地が充分膨らむまではオーブンの扉を開けないこと。これらを守ると焼き上がった後も生地がしぼまず、膨らんだままの状態がキープされます。