1988年10月29日はセガのゲームハード、メガドライブが発売された日。
セガの名を世に知らしめたゲーム機の誕生にちなんで作るのは、同じくセガによる革新的なゲーム『シェンムー』に登場する豚肉饅頭です。
『シェンムーⅢ』に登場するスタミナ回復アイテム
ゲーム中の屋台などで買える美味しい点心
『シェンムーⅢ』のゲーム中で、食べ物や飲み物は体力を回復してくれる重要な存在。
スタミナが切れると走れず探索もしにくいので食べ物を買い込むことになるのですが、店ごとにさまざまなメニューがあるため、ラインナップを見ているだけでも楽しめます。
今回再現する豚肉饅頭もそんな回復アイテムの一つ。ゲーム中で点心を売る、いくつかの店で目にすることができます。
特にゲーム序盤に登場する白鹿村の点心屋台・熊猫点心のものは印象的かも。
小さな女の子が健気に呼び込みをしているので、釣られてたくさん買ってしまった……という人もいそうですね。
中国東北地方の料理はどんな味?
ところで『シェンムー』シリーズに登場する中国の街に、明確なモデルは無いとのこと。
上の記事で語られているように、世界観については多くの人が想像する「中国らしい中国」を目指して作られているそうです。
本作の舞台の一つである白鹿村は中国の桂林にある架空の村なのですが、特徴などについては河北省にある武術の盛んな「孟村」から着想を得ている様子。
なので作るなら、河北あたりで食べられている料理をイメージする感じになるでしょうか。
その河北省の食については、中国の北部地域で食べられている「北京料理」からの影響が強いそう。
北京料理というと北京ダックなどの贅沢な食材を使った宮廷料理のイメージがありますが、もちろん庶民料理としての顔も持っています。
「油重味濃」と評される庶民の北京料理は、ネギやにんにくなどの香味野菜にスパイスなどもたっぷり加え、味は濃いめ。
日本の東北地方でもそうですが、寒い地域ではしっかりめの味が好まれる傾向にありますね。
参考:https://cuisine-kingdom.com/beijing-cuisine/
材料の考察
さて、北京料理系のしっかり味な肉まんを作る方向で固まったので、今回もさっそく材料の考察を。
豚肉を使った肉まんであることは分かっていますから、問題はそれ以外の具や味付けですね。
日本の肉まんだと玉ねぎやたけのこ、しいたけなどの具が入っていることが多いと思いますが、本場のものとは大きく違うはず。
ゲーム中の豚肉饅頭の説明文には「甘みのある豚肉に胡椒の辛味が刺激を与えている」とあるので、これが手がかりになりそうです。
現地で「胡椒」というと、その多くは「花椒」を意味することが少なくないため、香りづけには花椒を使うといいかも。
花椒も実そのままや砕いてではなく、水に香りを移した「花椒水」を加えることが多いようなので、その方向で。
豚肉以外の具については、シンプルにネギとしょうがのみ。
また、中国のレシピサイトを見ると家庭の肉まん生地は甘さ控えめ、あまり砂糖を加えず作っているようなので、これを採用して甘さ控えめ系の生地で包んでみましょう。
豚肉饅頭を作ってみよう
シェンムーⅢ|熊猫点心の豚肉饅頭
材料(10個分)
- 花椒水用
花椒 小さじ2
水 50ml
- 生地用
小麦粉(薄力粉:強力粉=1:1がベスト) 200g
人肌程度のお湯 150mlほど
サラダ油 大さじ1
砂糖 大さじ1
ドライイースト 小さじ1
- 豚肉あん用
豚ひき肉 200g
万能ネギなどの葉ネギ 1/3束ほど
塩 ひとつまみ
☆しょうが 1かけ(チューブなら6cm程度)
☆ごま油 大さじ1
☆紹興酒もしくは料理酒 大さじ1
☆しょうゆ 大さじ1/2
☆オイスターソース 大さじ1/2
☆こしょう 適量
☆花椒水 小さじ2-3程度
作り方
- 花椒水の準備
- 花椒を軽く洗って耐熱容器に入れ、水を注いで600Wのレンジに1分ほどかける
- 茶こしなどで花椒の粒を取り除き、香りの出た水のみを使用する
- 生地の準備
- 大きめのボウルに小麦粉・砂糖・サラダ油・ドライイーストを入れて混ぜておく
- ぬるま湯を3-4回ずつに分けて加えながら、箸などで全体をよく混ぜる
- 2の粉気がなくなってきたら、体重をかけつつ滑らかになるまでよく練る
- 生地を一つにまとめてラップをかけ、室温で30-40分ほど発酵させる
- 豚肉あんの準備
- しょうがはみじん切り、ネギは小口切りにしておく
- ボウルなどにひき肉と塩を加え、粘りが出るまでよく練る
- ひき肉に粘りが出て白っぽくなったら、☆の材料を加えてさらに混ぜる
- 5に万能ネギを加えて全体を軽く混ぜれば豚肉あんは完成
- 仕上げ
- 発酵を終えた生地を10等分し、さらに10分休ませる
- 中央が少し厚くなるよう生地を丸く伸ばし、10cm程度の円形にする
- 生地の中央に豚肉あんを載せ、縁をつまんでひだを寄せながら包む(包み終わりは生地をひねり上げて閉じる)
- 蒸し器に饅頭をセットし、強火で15分ほど蒸せば出来上がり
ポイント
- 花椒水は食感に影響を与えず風味を楽しめるので、肉まんのほか、餃子や麻婆豆腐作りの際に加えるのもおすすめです
食後のヒトコト
柑橘のような爽やかな花椒の香りに、しょうが・ごま油の風味も効いた豚肉あんはとってもジューシー。
パンチの効いた豚肉あんに、甘さ控えめ生地の組み合わせが新鮮です。
ひだを寄せてきれいに生地を包むのは簡単とは行かないものの、明らかに日本の肉まんとは異なる味わいになるので、本場の家庭料理気分を味わいたい人に良さそう。
ちなみ中国で「饅頭」というと、肉などの具が入っていないもののこと。
今回のような具入りタイプは「包子」と呼ぶためゲーム中の表現は正確には誤りなのですが、細かいことはいいですね。美味しいし。
ところで、『シェンムー』は近々アニメになるようですね。シリーズもまだ完結していないようですし、今後の動きにも影響があるのかな?
『シェンムー』の今後に期待しつつ、今回もごちそうさまでした。