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薬屋のひとりごと|南宋風の白身魚スープ・宋嫂魚羹

漫画版・アニメ版も好評な『薬屋のひとりごと』に登場するスープをイメージして作るのは、杭州の名物料理「宋嫂魚羹」。

薬草や毒に興味津々な猫猫は毒入りでも恍惚の表情で口に含んでいましたが、宮廷料理のスープですからそもそも美味なはず。毒なしでもとろける風味をご賞味あれ!

第7話から第9話に登場する羹(スープ)とは

猫猫がとろけた園遊会のスープはフグ毒入り?

今回再現するのは、園遊会の食事の席で主人公の猫猫が毒見をした羹(スープ)。ねこクラゲ先生の漫画版では第7話から第9話、アニメ版だと6話で登場したお料理です。

猫猫が仕える玉葉妃に出されたスープにはフグの毒が仕込まれていた訳ですが、毒マニアの猫猫にはむしろご褒美といったところ。

久しぶりに口にする毒の刺激に、猫猫が恍惚とするシーンは間違いなく本作前半の見どころですね。

参考:https://ncode.syosetu.com/n9636x/24/

材料・調理法の考察

スープに使われた毒はフグのものだと原作に明記されていますから、料理については魚、特に白身魚を使ったものだとフグの肝や身が紛れていてもごまかしやすかったはず。

原作者の日向夏先生によると、本作の時代設定は唐代をベースに16~19世紀の文化や科学知識なども織り込んでいるそうなので、再現する料理についても幅広く捉えて該当しそうな魚の羹を探してみましょうか。

ただ唐を中心に、2代先の五代十国・宋の時代でも幅が広すぎる……。

なので今回は鉄鍋の登場で飛躍的に調理の幅が広がり、ほぼ今日の中華料理の形が定まったとされる宗の時代にスポットを当ててみることにしてみます。

ちょうど宗代にはこの時代に生まれ、現在も浙江省杭州の名物料理として有名な「宋嫂魚羹」という魚のスープがあるのでそれがいいかな?

南宋の初代皇帝・趙構(高宗)の坐像
参照:https://theme.npm.edu.tw/opendata/DigitImageSets.aspx?sNo=04024195

この「宋嫂魚羹」は蒸して細切りにした白身魚に、たけのこや青ねぎなどを加えたとろみのあるスープ。

南宋の初代皇帝・趙構が絶賛したという逸話も残る料理で、軽く酸味を効かせた汁に卵を流してかきたま状に仕上げる、淡い色合いも上品な汁物です。

ねこクラゲ先生作画のコミック版巻頭で確認できるスープのビジュアル(千切りにした白っぽい具材と、細かく切った緑色の野菜のようなものが確認できる)とも共通点がありますし、皇帝も絶賛したスープなら、高貴な人々が食す宮廷料理のイメージにもぴったり。

方向性が固まったので、今回もさっそくはじめていきましょうか。

参考:https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/183213/blogkey/2103547/

参考:http://en.chinaculture.org/chineseway/2014-04/09/content_519146.htm

宋嫂魚羹を作ってみよう

薬屋のひとりごと|南宋風の白身魚スープ・宋嫂魚羹

材料(2-3人分)

  • 魚の下ごしらえ用
  • 真鯛の切り身_100g

  • しょうが_スライス2-3枚

  • 長ねぎの青い部分_適量

  • 紹興酒_大さじ1/2

  • スープ用
  • しいたけ_中1個

  • 水煮たけのこ_20g

  • ハム_1枚

  • しょうが_スライス2枚

  • 長ねぎ_4cm分

  • ごま油_小さじ1

  • 卵白_1個分

  • 片栗粉_小さじ2(同量の水で溶いておく)

  • 水_600ml

  • 調味用
  • 酢_大さじ1

  • しょうゆ_小さじ1

  • 紹興酒_大さじ1

  • 鶏ガラスープの素_小さじ1

  • こしょう_少々

作り方

  • 魚の下準備
  • 鯛は少量の塩(分量外)を振って10分ほどおき、ペーパータオルなどで水気を拭き取っておく
  • 切り身の上にしょうがスライスとねぎを乗せて紹興酒をかけ、500Wのレンジで3分ほど蒸して細切りにしておく
  • スープの準備
  • 長ねぎ・たけのこ・しいたけは細切り、ハム・しょうがは千切りにしておく
  • 卵白は溶きほぐし、水溶き片栗粉と混ぜておく
  • 鍋でごま油を熱し、ねぎを軽く炒める
  • 水と鶏がらスープの素・紹興酒・酢・しょうゆを加えて沸かし、蒸した鯛と1の具を加えて3-4分ほど煮る
  • 2の卵液を少しずつ流し入れてかきたま状にし、こしょうで味を整える
  • 器に注ぎ、ハムとしょうがを散らして出来上がり

食後のヒトコト

あっさり淡白な蒸し鯛の身に軽い酸味が心地よいスープは、さっぱりと上品な味わい。

ふわっとなめらかな卵白に歯応えのあるたけのこと食感の違いも楽しめ、シンプルながら凝った印象です。

毒入りは勘弁ですが、さすがは宮廷料理。スープそのものが美味なので、猫猫でなくとも恍惚の表情になってしまうかもですね。

ところで『薬屋のひとりごと』についてはねこクラゲ先生の作画によるビッグガンガン版と、倉田三ノ路先生作画によるサンデーGX版が現在連載中なんですよね。

なかなか珍しいことだと思いますが、ビッグガンガン版とサンデーGX版、それぞれに異なる違いを楽しんでいる人も多いよう。

アニメ化などはされないのかな?

飄々とした猫猫ちゃんが活躍する姿は画面映えしそうだなあなんて考えながら、今回もごちそうさまでした。

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  • この記事を書いた人

宵闇

作者の心情や時代背景などを頭でっかちに考察しつつ、物語や歴史に登場する料理を作っています。お仕事のご依頼等については、お問い合わせフォームもしくはinfo@saigengohan.comよりどうぞ。

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