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ヒューゴの不思議な発明 |モンパルナス駅のプチ・デジュネ

1861年の12月8日は、SF映画の祖と言われるジョルジュ・メリエスの誕生日。

この日にちなんで作るのは、そんな彼が登場する映画『ヒューゴの不思議な発明』の舞台・モンパルナス駅のカフェで出されているフランス式の朝食「プチ・デジュネ」です。

苦味の効いたエスプレッソコーヒーと甘いパンのプチ・デジュネで、パリの朝の気分をどうぞ。

フランス式の朝食「プチ・デジュネ」とは

甘〜いパン+苦いエスプレッソの組み合わせは朝の定番

本作の主人公である身寄りのない少年・ヒューゴが隠れ住むのは、パリ14・15区にまたがるモンパルナス駅の時計台の中。

この時計台に隠れ住み、父が遺した機械人形の謎を解こうと奔走するヒューゴの物語の中で、駅に集う人たちの人間模様もまた重要な役割を占めています。

今回再現するフランス式の朝食「Petit Déjeuner(プチ・デジュネ)」は、そんな人々が集まる駅のカフェで食べられているもの。

物語のキーアイテムとして登場する……という訳ではありませんが、駅舎の朝の日常風景として、劇中ではコーヒーと甘そうなパンの朝食をとる人々の姿が何度も描かれています。

ちなみにフランスの典型的な朝食というと、ボウルになみなみと注がれたカフェ・オ・レにクロワッサンというイメージがありますよね。

でも、カフェ・オ・レについては家で飲む飲み物のため、カフェやレストランなどのメニューに載っていることは少ないのだとか。

カフェで朝食に添えるのは大抵の場合エスプレッソで、これをクロワッサンやパン・オ・ショコラ、タルティーヌ(バターとジャム・はちみつなどをたっぷりと塗ったバゲットのオープンサンド)と一緒に食べるのが一般的だそう。

劇中のモンパルナス駅はパリ北駅とリヨン駅のイメージをミックスしたものですが、モデルの一つであるリヨン駅の歴史あるカフェ「Le Train Blue(ル・トラン・ブルー)」のメニューでも、朝食コースのセレクションにカフェ・オ・レの名前は見当たりません(一応、ラテ・マキアートをアラカルトで注文することはできるようですが)。

まあでも朝食の定番が軒並みジャムやチョコレートたっぷりの甘〜いパンなので、飲み物は苦味の効いたエスプレッソくらいでちょうど良い気がしちゃいますね。

材料の考察

そんなフランス式の朝ごはんですから、当然ポイントはコーヒー。今回は直火式のエスプレッソポットを使って淹れましょう。

使うのはマキネッタと呼ばれる以下のようなタイプ。ビアレッティの製品は特に有名なので、見かけたことがあるかもしれませんね。

エスプレッソメーカーというとネスプレッソやデロンギの機械式タイプが有名ですが、直火式のエスプレッソメーカーは軽くて場所を取らず、メンテナンスも楽なのがいいところ。

4000-5000円も出せば一生使えるものが手に入るので、お家でたまにエスプレッソを楽しみたい方には特に向いていると思います。

パンについては劇中でヒューゴがかすめ取っていたクロワッサンに、バターとジャムたっぷりの縦割りバゲット・タルティーヌ。

フランス産の小麦を使ったハード系ブレッドで有名な、美味しい「ボンヴィボン」のパンを使って作ります。

なお、マキネッタを使ったエスプレッソの淹れ方については、人によってベストな方法がかなり違うようです。

特にフィルターを使うか使わないかで選ぶ豆の挽き具合や、タンピング(コーヒーの粉を押し詰めること)をしてOKかNGかがはっきりと分かれるので注意が必要。

口当たりを良くし、器具自体に詰まるコーヒー粉も軽減してくれるので私はフィルター推奨派ですが、そうではない方もいると思います。

今回はフィルターを使用して淹れたため、その際のポイントをご紹介しておきますが、方法のひとつとしてご参考までに……。

  • バスケット(コーヒー粉を入れる部分)とサーバー(抽出されたコーヒー液が溜まる部分)裏部分に1枚ずつフィルターを使う
  • 使用するコーヒー豆は細挽き〜極細挽きもOK(フィルターがあれば、細かい粉でもサーバーの穴に詰まりにくいため)
  • ぎゅうぎゅう押し詰める必要はないが、ある程度のタンピングは必要(多めの粉で抽出すると、美味しさの詰まったコーヒーオイルがしっかり出ます)
  • 抽出する際は冷たい水ではなく、お湯を使う(より早く圧を上げるため)
  • バスケットとボイラー(水を入れるタンク部分)は締めすぎかな……と思うくらいぎっちり締め上げる

タルティーヌとエスプレッソの朝食を作ってみよう

ヒューゴの不思議な発明 |モンパルナス駅のプチ・デジュネ

材料

  • タルティーヌ用
  • バゲット 1/4本ほど

  • バター お好みで

  • ジャム お好みで

  • エスプレッソ用
  • エスプレッソ用もしくはイタリアンローストの細挽きコーヒー 人数分

  • 水 適量

作り方

  • タルティーヌの準備
  • バゲットは縦半分にカットしておく
  • バターとジャムをたっぷりと塗れば出来上がり
  • エスプレッソの準備
  • やかんなどでお湯を沸かしておく
  • マキネッタのバスケットとサーバー裏部分に水で濡らしたフィルターを貼り付けておく
  • バスケットにコーヒー粉を入れ、スプーンやバターナイフなどで軽く押し詰める
  • ボイラーにお湯を注ぎ、サーバーをセットしてしっかり締め上げる(熱いので鍋つかみや軍手の着用をお忘れなく)
  • 取手部分に火が届かないよう注意しつつ、中火程度で加熱する
  • コポコポという抽出音がしてきたら火から下ろし、カップに注いで完成

ポイント

  • マキネッタのフィルターについては、ドリップコーヒー用のフィルターをバスケットの口部分で型取りして使えばOK。専用品でなくても問題ありません。

食後のヒトコト

見た目にも分かるくらいコーヒーオイルが出ています
フィルターのおかげで口当たりが良いのも素敵

しっかりとコーヒーオイルの出たエスプレッソは、苦味だけでなくコクや甘みも強く感じます。

タルティーヌにはベリーとあんずのジャムをバターと一緒にたっぷりと塗っていますが、コーヒーの苦味とうま味のおかげでちょうどいいバランス。

甘すぎて完食できないかも? と思っていたのに、意外なくらい食が進んでしまいます。

確実に高カロリーですが、一日元気に活動するために食べる朝食なので、これくらいでもいいのかもしれませんね。

なお、本作の物語に登場する映像作家ジョルジュ・メリエスの人物像は架空のものですが、エピソード自体は史実に基づいているのだそう。

メリエスがモンパルナス駅に店を構えていたのは映画製作の夢に敗れた失意の時期だと思いますが、彼はどんな思いで働いていたんだろう……。

映像の魔術師も食べたであろう朝食メニューに少ししんみりとしつつ、今回もごちそうさまでした。

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  • この記事を書いた人

宵闇

作者の心情や時代背景などを頭でっかちに考察しつつ、物語や歴史に登場する料理を作っています。お仕事のご依頼等については、お問い合わせフォームもしくはinfo@saigengohan.comよりどうぞ。

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