寒くなると食べたくなる料理のひとつ、おでん。今回は、そんなおでんが印象的に登場するアニメ『xxxHOLiC』の第5話から、粋な狐の店主さんが作るおでんを再現します。
美味しい出汁がじゅわっとしみた、冬にぴったりの一品をどうぞ。
第5話「シリトリ」で登場した一皿
狐の店主が作る粋な屋台のおでん
アニメの第5話に登場したおでんは、狐の親子妖怪が営む渋い感じのおでん屋台のもの。
主人公の少年・四月一日(わたぬき)くんが、バイト先である「ミセ」に向かう途中で出会う屋台のおでんは狐の営む店らしく、大きく切った油揚げが入っているのが印象的でした。
xxxHOLiCは原作漫画でもアニメ版でもところどころに美味しそうな料理やお菓子が登場しますが、狐のおでんはエピソード自体にも絡んでくるので扱いが大きいんですよね。
油揚げが大好物の私、普段から油揚げの煮付けを好んで食べたりするので、このおでんは特に美味しそうで魅力的でした……。
狐の好物=油揚げということで入っているんだと思いますが、油揚げは出汁をよく吸うから、おでんの具としても最適でしょうね。
材料・調理法の考察
さて、そんな狐のおでんですから、主役はやっぱり「油揚げ」。
まず具材としてこれは外せません。
油揚げについてはスーパーなどでよく見かける薄揚げタイプが一般的なものの、屋台店主の狐によれば「揚げには特別なこだわりがある」のだとか。
薄揚げも出汁をよく含んで美味しそうではありますが、今回はふっくら肉厚な豆腐部分も味わえる手揚げ風の「昔あげ」タイプが良さそうです。
また作中では、四月一日くんに振る舞われたおでんの器の中身もはっきりと描かれているので、そちらもチェック。
- 油揚げ
- 大根
- こんにゃく
- もち巾着
- 卵
いずれもオーソドックスな具ですね。
この他にも屋台に設置されたおでん鍋の中にはがんもどきやタコ、昆布らしき具材も確認できます(後のシーンでは、「ミセ」の主・侑子さんがタコ串にかぶりつく姿も)。
もう一つポイントになりそうなのは出汁。
タコが具として入っているので関西風のおでんなのかな? と思っていましたが、劇中のおでんの器を見る限り、関西風というほど薄い色合いでもないような……。
とはいえ、しょうゆの色合いが濃い関東風ともちょっと違う様子かなと。
狐のおでんの目玉である油揚げに合わせるなら、出汁の味がしっかり効いていて、甘みもある程度あった方が美味しそう。
出汁の味わいが効いたあっさり優しい関西風と、しょうゆのコクと甘みも強めな関東風、両方の良いとこ取りで作るのがいいかもしれません。
出汁については関西でも関東でも昆布とかつおの合わせ出汁が基本ですが、妖の世界でも美味しいと評判の狐のおでん屋台ですから、その取り方にはちょっとこだわりたいところ。
最近の研究では、昆布のうま味をより多く効率的に抽出する方法が判明しているので、昆布についてはそちらの方法で出汁を取ることにしましょう。
ちょっとひと手間かかりますが、なんたってこれ、妖怪の狐が作る特別なおでんな訳ですし。
昆布出汁の具体的な抽出方法は、以下別ブログの記事からご確認くださいね。
豆腐百珍|うま味マックス出汁の高津湯豆腐
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狐のおでんを作ってみよう
xxxHOLiC|狐のおでん
材料
- おでん出汁用
昆布 15g
かつお節 10g
水 1L
☆料理酒 1/2カップ
☆しょうゆ 大さじ2
☆みりん 大さじ2
☆砂糖 大さじ2
塩 適量
- 具材用
油揚げ 2-3枚
大根 1/2本(500gほど)
こんにゃく 1枚
ゆで卵 4個
もち巾着・タコ串・ちくわ・はんぺん・さつま揚げなどの具材 お好みで
作り方
- おでん出汁の準備
- 60℃のお湯に1時間昆布を浸し、昆布出汁を取っておく(詳しくは湯豆腐記事参照)
- かつお節はお茶や出汁用パックなどに入れておく
- 小鍋などに昆布出汁とパックに入れたかつお節を入れ、中火で加熱する
- 沸騰したら火を弱めて10分ほど煮出してパックを取り出し、☆の調味料を混ぜれば出汁の完成
- 具材の準備
- 大根は2cm厚ほどの輪切りもしくは半月切りにし、沸騰したお湯で10分ほど下茹でしておく
- 油揚げは沸騰したお湯で2-3分ほど茹でて油抜きをし、半分にカットしておく
- こんにゃくは表面に4mm幅ほどで浅く格子状の切り込みを入れ、3等分程度にカット→対角線に包丁を入れ三角形に切り、沸騰したお湯で4-5分ほど茹でてざるに上げておく
- 仕上げ
- 大きめの鍋におでん出汁を入れて沸かし、沸騰したら火を弱めて大根・こんにゃく・ゆで卵を加え、1時間ほど煮込む
- 残りの具材を加えて20分ほど煮込み、塩で味を整えたら出来上がり
ポイント
- 出汁パックに入れたかつお節を取り出す際、絞るのはNG。もったいない気もしますが、苦味やえぐみが出てしまうので避けた方が賢明です
食後のヒトコト
出汁をたっぷりと含んだ油揚げが、えも言われぬ味わい……。
みりんと砂糖の優しい甘みが効いた出汁は油揚げと相性抜群ですね。
昆布とかつお節だけでなく、具材として加えたさつま揚げなどからもうま味が加わって、深みとコクも増しています。
寒い時期のおでん、しみじみと温まるなあ。
私は下戸なのでアルコールはダメなのですが、飲める人ならお酒が進んじゃいそう。
ちなみに、油揚げを具として加えたおでんってあまり見かけないのですが、お店でいただくなら牛タンで有名な銀座の三代目文治さんはおすすめ。
こちらの油揚げは狐の耳のような三角形のタイプなので、狐好みのおでんとしてもばっちり。
牡蠣のエキスを加えた贅沢な出汁も、お店ならではといったところです。
塩釜おでんはもちろん、仙台牛タンなどの郷土料理がいただけるお店には美味しい仙台の日本酒も取り揃えられているため、侑子さんにも喜ばれそう。
そういえば、ホリックは実写映画も公開されているんですよね。映画では、本作らしいゴージャスな衣装も見ることができるのかな?
xxxHOLiCの実写映画が気になりつつ、今回もごちそうさまでした。