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マトリックス|ネブカドネザル号の船内食風オートミール粥

今回は、ディストピア飯といえばこれ……として挙げられることもある『マトリックス』登場のお粥を再現。

不味そうなイメージが先行してしまう作中のお粥ですが、最新技術が使われた代替肉も入って栄養たっぷり。意外に美味しく食べられるかも?

マトリックスに登場する食事とは

現実世界のネオがネブカドネザル号で食べる「お粥っぽい何か」

今回再現を試みるのは主人公のネオが仮想世界・マトリックスから覚醒し、現実の世界で最初に口にすることになる食事。

ネオを助けたモーフィアス率いるネブカドネザル号の仲間たちも一緒に食べている、お粥っぽい食べ物です。

先に覚醒していた仲間たちからは「朝食の王様」と皮肉られたり、「目をつぶって食べれば柔らかい玉子」「鼻水(!)」と、なかなかの言われようなこちら。

薬液でも保存していそうな装置からベシャッと不快な効果音を伴って吐出されるという、いかにもな演出で登場の印象は最悪ですが、偏見なしでそのものだけを見れば、オートミールのお粥といった感じ。

当たり前なんですけれど、オートミールのお粥ってきちんと調理すればそれなりに美味しいんですよね。

見映えのする食べ物とはいきませんが、水を加えて加熱しただけなら味付けを相当間違えない限り、それほどひどいものではなさそう。

ディストピア感満載の描かれ方をしている割に、船内クルーの誰一人として不味いと文句を言っていないのもその証かなと(言うだけ無駄と思っているのかもしれませんが……)。

毎日毎食あのお粥だとうんざりしそうではありますが、彼らは現実世界の他の食べ物の味を知らないはず。

マトリックス世界で得た情報で食べ物に対していたずらに期待値が上がっているだけで、あの「お粥」自体は意外に美味しいというのが案外妥当な線なのかもしれません。

材料の考察

さて、作中のモーフィアスの台詞から、船内食のお粥に使われているのは「人工アミノ酸にビタミン・ミネラルを加えた単細胞タンパク質」であることが分かります。

いかにもSF世界の創造物っぽい「単細胞タンパク質」ですが、これ架空のものではなく、本当に存在する物質。

微生物の働きを利用して大気中の成分から生成するタンパク質のことで、ざーっくり言ってしまうと最近よくニュースなどで取り上げられている「代替肉(代替タンパク質)」の一種です。

研究開発途中の未来の食品というわけでもなく、商品化も秒読み段階。アメリカのエアプロテイン社による「エアプロテイン」や、フィンランドのソーラー・フーズ社による「ソレイン」等が有名でしょうか。

参考:https://forbesjapan.com/articles/detail/40732/1/1/1

https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2104/05/news041.html

今回の再現料理のメインになりそうな材料ですし、現実にある食材ならぜひ取り入れたい! ところですが、日本にはまだまだ入ってくる気配なし……。

欧米では来年あたり市場に出回りそうですが、現状日本では手に入らないので他の代替肉で手を打つしかないですね。残念。

気を取り直して日本でも手に入りやすい代替肉というと、選択肢はほぼ大豆ベースのタイプに絞られるなあ。

お粥に入れるなら、ミンチやフレークタイプの大豆ミートがそれっぽいでしょうか。

大豆ミートを採用するとして、クリアにしておきたいのが大豆素材特有のにおいの問題。

大半が大豆の搾りかすを利用して作られた大豆ミート製品、事前に茹でるなどの下処理をしても強いクセが残るんですよね。

濃い味付けをしないお粥では特に悪目立ちすると思われますし、エアプロテインやソレインはほぼ無味らしいので、それに寄せるならできる限りクセのない大豆ミートが理想的。

でも今までいくつか試したことがある大豆ミート製品で、あのクセが無いものに出会ったためしがありません。

素材特有の問題だし、そこには目を瞑るべきなのか?

何かいい方法はないかと思いつつ探し回ってみたところ、こんなものを見つけました。

原料となる大豆の品種から開発して、特有の異風味を低減させた植物肉「ミラクルミート」……!

そうそう、求めていたのはこういうのです。

やっぱり大豆のクセは使いやすさという点でハードルになりますもんね。

ただ、ミラクルミートの素材そのものは一般向け商品にはなっていないようなので、今回はミラクルミートを原料にした大豆ミートブランド「ソイクル」のフレークタイプを購入してみることに。

さっそく取り寄せ、まずはそのまま食べて風味を確かめてみましたが、たしかに大豆ミートにありがちなクセが無い。

クセが無いというか、うま味は感じるけれどほぼ無味です。お粥に加えても違和感なく食べられそう。

発芽大豆由来で、ビタミン・ミネラル・アミノ酸などを多く含んでいるのも作中の設定に合う感じ。

水で戻したり茹でたりの下処理が必要ないのも、資源や設備の限られた船内食用としてぴったり。これで決まりですね。

ネブカドネザル号風のオートミール粥を作ってみよう

マトリックス|ネブカドネザル号の船内食風オートミール粥

材料(1人分)

  • オートミール 大さじ3

  • フレーク状の代替肉(今回はソイクルを使用) 大さじ1

  • 水 1カップ

  • 顆粒コンソメ ひとふり程度

作り方

  • 深めのシリアルボウルなどに材料を全て投入し、よくかき混ぜる
  • ゆるめにラップをかけ、600Wのレンジで2分半ほど加熱すれば出来上がり

ポイント

  • 吹きこぼれやすいため、加熱の際にはなるべく深さのある器を使うのがおすすめです。
  • ソイクル以外の一般的な乾燥大豆ミートを使うなら、あらかじめ茹でて水洗いをし、絞って水気を切っておく必要があります。ご注意を。

食後のヒトコト

調理前のソイクル
あっさりした油揚げのような感じで香ばしさもあります

ソイクルが良い意味で無個性なため、味も見た目もオートミールだけのお粥とほぼ変わらず。

コンソメでうま味を補っているのもあり、違和感なく美味しくいただけます。というか普通にとっても美味しいですね。

振り入れるだけで使えてクセがなく香ばしいので、今回のようなお粥やスープ、サラダのトッピングにもなりそう。保存も利くのでストックしておいて、ちょっとタンパク質が足りないと感じたときにプラスするのも良さそうです。

フードテックは最近特に熱い分野ですが、代替肉の進化は特にめざましいですね。個人で手に入る代替食材も増えてきているので、目が離せない感じです。

ひとまずエアプロテインやソレインが商品化されたら、それを使ってネブカドネザル号風船内食のアップデートバージョンを作ってみたいなあなどと考えつつ、今回もごちそうさまでした。

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  • この記事を書いた人

宵闇

作者の心情や時代背景などを頭でっかちに考察しつつ、物語や歴史に登場する料理を作っています。お仕事のご依頼等については、お問い合わせフォームもしくはinfo@saigengohan.comよりどうぞ。

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