今回再現するのは、Netflixで配信中のアニメシリーズ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』に登場するお料理。
素晴らしい映像美と心を揺さぶるストーリーが特徴的な本作から作るのは、C.H郵便社の一員となったヴァイオレットちゃんが、ライデンではじめて食べることになる魚料理です。
ヴァイオレットちゃんが食べていた料理とは
一尾丸ごとの大きな大きな魚料理
今回再現するのは、アニメシリーズ『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』の1話に登場する魚のお料理。
主人公のヴァイオレットが港町ライデンにあるC.H郵便社の一員となったその日、郵便社社長のクラウディアや、先輩社員のベネディクトと共に訪れたレストランで食べていたお料理の一つです。
頭と尾っぽがついた大きな魚を焼いたものらしきそれは、こんがり焼けていてとても美味しそう。
ただ彼女、戦争で失った腕の代わりに着けた義手がまだ上手く扱えず、食べるのに苦心していた様子。ぎこちない仕草に、少し胸が痛むシーンでしたね。
材料・調理法の考察
本作の主な舞台となるC.H郵便社の所在地「ライデン」については同名の地名がオランダにありますが、現実世界のライデンは年間を通してやや涼しいと言える気候。
劇中のライデンのようにヤシやシダ類が育ち、ブーゲンビリアの咲く温暖な地域ではありません。
アニメ制作を手がけた京都アニメーションのスタッフによると、本作の世界については架空のものとのことですし、登場人物の名前や地名も英語読みやドイツ語読みが混ざっているようです。
このため劇中世界の文化については、ヨーロッパ各国の特徴をミックスしたものと見るのが妥当でしょう。
彼女たちの住む街並みは空想世界ですがただの空想だけでは世界は作れません。普段の日常生活など色々想像するわけです。似ている世界はどのあたりでしょうか?そういったところを様々な資料から少しずつ構築するわけです。
監督からは漠然とヨーロッパでやや南国の印象とのことでした。
引用:https://www.kyotoanimation.co.jp/diary/archives/date/2020/09/03
とすれば、彼女らがレストランで食べていた料理も単純にオランダ料理やドイツ料理ではなさそう……。
ただし、手がかりもちゃんとあります。それは、魚と一緒にテーブルに並んだ他のごちそう。
テーブルには詰め物をしたナスやピーマンの料理にピラフっぽい米料理、串焼きに春巻きのような料理の数々が確認できます。
一番特徴的なのが目玉焼きを乗せた、ボートのような形をしたパンと思われるお料理ですね。
この料理の特徴にぴったり合致するものが、「ハチャプリ」という名前でジョージアの伝統料理にあります。
特徴的な形で類似の料理も確認できないようですし、ジョージアでは「ドルマ(Tolma)」というピーマンの肉詰め料理や、焼きナスにくるみペーストを乗せた「バドリジャニ(Badrijani)」なる料理もポピュラー。
トルコ料理の影響から串焼きなどもよく食べられているので、劇中のレストランの食事についてはジョージア料理がモデルと考えて良さそうです。
ジョージア料理は肉料理が中心ですが、魚だとマスや鯉などのオーブン焼きがよく食べられるそう。
さばいた魚のお腹にハーブなどを詰めて香りよく仕上げることが多いようなので、ヴァイオレットちゃんが食べていた料理もハーブで香り付けした魚のオーブン焼きに決まりですね。
魚はできればニジマスあたりが良さそうだけれど、季節的に手に入りにくいのでハーブを詰めやすいアジで。
付け合わせはピラフっぽい米料理に、トマト・じゃがいも・レタスなどがあればよし。
さあ、今回もさっそくはじめていきましょう。
参考:https://www.kyotoanimation.co.jp/diary/archives/date/2020/09/03
魚のオーブン焼きを作ってみよう
ヴァイオレット・エヴァーガーデン|ライデンでいただく魚のオーブン焼き
材料(2人分)
- 魚のオーブン焼き用
マスもしくはアジ_2尾
レモン_スライス2枚程度
☆ディル_4枝
☆パセリ_2枝
☆わけぎかあさつき_2本
小麦粉_適量
塩_ふたつまみ
こしょう_適量
オリーブオイル_適量
- 付け合わせピラフ用
米_2合
玉ねぎ_1/2個
トマト缶_1/2缶
コンソメキューブ_1個
オリーブオイル_大さじ1
パプリカパウダー_小さじ1
- 付け合わせ用
茹でたじゃがいも・レタス・トマトなど_お好みで
作り方
- 付け合わせ用ピラフの準備
- 米は洗ってざるに上げ、30分ほど水気を切っておく
- 玉ねぎはみじん切りにしておく
- フライパンでオリーブオイルを熱し、中火で玉ねぎを炒める
- 玉ねぎがしんなりしたら、トマト缶・パプリカ・コンソメを入れて一煮立ちさせる
- 米を加えて3分ほど炒めたら炊飯器に入れ、2合のラインより気持ち少なめに水を加えて通常通り炊けば完成(芯が残るようなら再度炊飯して調整を)
- 魚のオーブン焼きの準備
- オーブンを220℃で予熱しておく
- レモンスライスは半月切り、ハーブ類は7-8cm程度の長さに切っておく
- (アジの場合)ゼイゴと鱗を取ってアジの頭を右にして置き、喉元から肛門に向けて切り込みを入れ内臓とエラを外しておく
- 流水で血を洗い流し、キッチンペーパーなどで水気を拭き取っておく
- 塩こしょうを全体によくまぶしつけたら、レモンと☆のハーブ類を魚のお腹に詰める
- 小麦粉を全体に軽くまぶしてオーブンシートを敷いた天板に置き、オリーブオイルを振りかける
- オーブンの上段で15分ほど焼けば出来上がり。ピラフを盛り、レタスやトマト、茹でたじゃがいもなどを添えて召し上がれ
食後のヒトコト
身はやわらかく・皮はぱりっと焼けたアジに、ハーブの香りがふんわり。香草の風味が食欲をそそります。
ヴァイオレットちゃんが食べていた魚は形からおそらく鯉なんじゃないかなと思われますが、アジでも充分雰囲気を感じられますね。
ジョージア伝統のハチャプリや、くるみペーストを乗せたバドリジャニなども作ればいっそう異国の雰囲気。
ちなみにこの魚のオーブン焼き、今週末に地上波で初放送される『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』にも登場しています。
鑑賞の際には、このオーブン焼きを作っていただくのもおすすめ。美しい作品世界をより深く味わえそうです。