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宇宙日本食|スペースビーフカレー

1976年の9月17日は、NASAのスペースシャトル・エンタープライズ号が初公開された日。

宇宙開発における記念すべき日にちなんで再現するのは、国際宇宙ステーションで食べられている宇宙日本食・スペースカレーです。

ISSで食べられているJAXA認定の食品「宇宙日本食」

宇宙日本食とは?

宇宙日本食とは、国際宇宙ステーション(ISS)での宇宙飛行士の食事として開発された食品のこと。

メーカーによって提案された食品のうち、JAXAの認証基準を満たしたものが宇宙日本食として認定されています。

参考:https://humans-in-space.jaxa.jp/life/food-in-space/japanese-food/

これまでの宇宙食は欧米の洋食メニューがメインでしたが、日本人宇宙飛行士のQOLを上げるため、食べ慣れた日本食でリフレッシュできるよう考えられているのも特徴的。

今回再現するカレーの他にやきとりや羊羹などさまざまな食品が登録されており、宇宙空間で活躍する宇宙飛行士を食の面からサポートしています。

まずは食べて味をチェック

宇宙日本食として認定されているカレーはチキン・ビーフ・ポーク・イベリコ豚とマッシュルームカレーの4種類あるようですが、地上用に販売されているのはビーフのみ。

こちらは宇宙食・宇宙グッズの専門店「宇宙の店」さんで通販されているので、購入して味を確かめてみることにします。

いつもは映画や歴史資料から味を想像して作っていますが、実物を食べて確認できるのは楽しいですね。

さあ、楽しい試食の時間だ〜!

宇宙食用に味付けや成分を変更しているとはいえ、基本的な材料や作り方は通常のレトルトカレーと同じ。

具が大きい以外、正直見た目はいたって普通のレトルトカレーだな……とうっすら思っていたんですが、予想外に美味しくて語彙力が行方不明状態に。

ごろっとした牛肉に、マッシュルーム・エリンギ・舞茸3種のきのこの食感がいい感じ。

宇宙空間でも美味しく食べられるよう通常よりスパイス多めとのことですが、うまみも濃くてごはんが進みます。

国際宇宙ステーションで宇宙日本食は他の国の宇宙飛行士にも人気だそうですが、それもうなずける美味しさ。おかわりしたい……。

材料の考察

おかわり分は買わなかったので(というか味をみるため買ったので)、再現して味わうべくパッケージから材料を確認。

併せてメーカーであるハウス食品のサイトのレトルトカレーの製造工程から、一般的なレトルトカレーの作り方もチェックしておきます。

業務用の調味料や添加剤など手に入らないものも少なくありませんが、主な材料をリストアップするとこんな感じ。

  • 牛肉
  • マッシュルーム・エリンギ・舞茸
  • ソテーオニオン
  • トマトペースト
  • 砂糖
  • カレーパウダー
  • カレールウ
  • 牛脂豚脂混合油
  • チキンエキス
  • 小麦粉
  • 酵母エキス
  • ガーリックペースト
  • しょうがペースト
  • 大豆イソフラボン

深いうまみを感じたので色々な野菜が入っているのかなと思いきや、きのこ類とオニオン、トマトペーストくらいなんですね。ちょっと意外。

となると他の材料でもうまみを得ているわけで、貢献度高めと思われるのが「酵母エキス」。

ざっくり言うと酵母から生まれたアミノ酸を抽出し、うまみ成分たっぷりの調味料に仕上げたものですね。

参考:https://www.asahi-gf.co.jp/products_feature/yeast-extract/

酵母エキス自体はほぼ業務用としか出回っておらず、一般に手に入る酵母エキス系の調味料だと、イギリスを中心に食べられているマーマイトやベジマイトが手に入りやすいといえば手に入りやすいんですが、持て余すだろうしなあ……。

ないなら作ろうということで、身近で手に入る酵母の代表格・ドライイーストで作ってみましょう。

イースト菌自身アミノ酸やたんぱく質を含んでいるので、砂糖水で培養して加えれば多少は味の複雑化に貢献してくれるはず。たぶん。おそらく。

参考:https://www.oyc.co.jp/yeast/about.html

もっとも市販のドライイーストはパンを膨らませることに特化して作られた単一酵母だし、うまみの元になるアミノ酸だけ抽出できるわけでもないので、酵母エキスとはだいぶ異なる「なんちゃって」ではありますが。

まあでも元のスペースカレーには結構砂糖が使われているようなので、その再現にもなるしで一石二鳥! ポジティブにいきます。

あと目につくのは牛脂豚脂混合油と大豆イソフラボンですね。脂はラードが近いんだろうけれど、さほど一般的というわけでもないのでバターで代用。大豆イソフラボンは大豆を粉にしたきな粉で良さそう。

もう一つ。スペースカレーの特設サイトによるとカルシウムとビタミンDも添加しているようなので、これはスキムミルクで再現してみることにします。

さて、もろもろ出揃ったのでさっそく調理開始です。

スペースビーフカレーを作ってみよう

レトルトカレーの製造工程をみると、具材は冷凍したものを使用している様子です。

きのこ類は凍らせるとうまみが増すので、ちょっと時間はかかるけれど前日に冷凍しておくとより美味しくできそうですね。

宇宙日本食|スペースビーフカレー

材料(4人分)

  • 牛もも肉 200g

  • 玉ねぎ 中2個

  • マッシュルーム 4-5個

  • エリンギ 1本

  • 舞茸 1/2株

  • カットトマト 1/2缶

  • しょうが 1かけ

  • にんにく 1片

  • 中辛のカレールウ(お好みのもので) 4皿分

  • バター 20g程度

  • 小麦粉 大さじ1

  • カレー粉 大さじ1

  • きな粉 大さじ1

  • スキムミルク 大さじ1

  • チキンコンソメ 1個

  • 水 500ml

  • なんちゃって酵母エキス
  • ドライイースト 小さじ1/4

  • 砂糖 小さじ1

  • 人肌程度のお湯 100ml

作り方

  • なんちゃって酵母エキスの準備
  • 背の高いグラスなどにお湯を入れて砂糖を溶かし、ドライイーストを加えてよく混ぜる
  • 1-2時間ほど常温におき、時々かき混ぜて空気を送り込みイースト菌の増殖を進ませれば完成(イースト菌は酸素がなくなると増殖できずぶくぶく炭酸ガスを出す「発酵」モードに入ってしまいます。彼らの繁栄のため酸素を送り込んであげてください。)
  • 具材の準備
  • マッシュルームはスライスし、エリンギは輪切り、舞茸は小房に分けてそれぞれ冷凍しておく
  • 玉ねぎは薄切りにし、少量の油(分量外)を引いた鍋でキャラメル色になるまで炒めておく
  • 牛肉は一口大にカットしておく
  • カレーソースの準備
  • しょうが・にんにくはすりおろしておく
  • 鍋にバターを入れて溶かし、小麦粉・カレー粉・きな粉を炒める
  • スパイスの香りが出てきたら、1とカットトマトを加えてもったりするまでさらに炒める
  • 炒めた玉ねぎ・コンソメ・水を加えて中火にかける
  • 仕上げ
  • カレーソースが沸騰したら牛肉を入れ、浮いてきたアクをすくいながら10分ほど煮る
  • なんちゃって酵母エキス・スキムミルクを加えて20分ほど煮込む
  • 一旦火を止めカレールウを加えて溶かし、きのこも加えてとろみがつくまで弱火で10分ほど加熱すれば出来上がり

ポイント

  • なんちゃって酵母エキスは無くても美味しくできますが、作る場合は調理前に用意しておき、作業の合間にかき混ぜて菌の増殖を促してあげるのがおすすめです。

食後のヒトコト

すりおろした生のしょうがとカレー粉をプラスしているのもあって、ぴりりと刺激的な味わい。

スパイスの風味が強いので、きな粉やなんちゃって酵母エキスがどれほど貢献してくれているのかはちょっと不明ですが、コクとうまみの強い濃厚なカレーに仕上がっています。

元のスペースカレーに近い味! とは行かなかったものの、別方向で大変美味しいカレーになったのでこれはこれでアリだなあ……。

お子さん用には向かないと思いますが、スパイシーでも辛すぎないので、辛いものが苦手な人でも大丈夫そう。

スペースカレーと食べ比べるもよし、普通にスパイシーなカレーが食べたい時にもよしなので、レパートリーの一つとしても。

そういえば、16日には民間の宇宙船・スペースXの打ち上げが無事成功しましたね。

宇宙時代は確実に近づいているんだなあと思いつつ、今回もごちそうさまでした。

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  • この記事を書いた人

宵闇

作者の心情や時代背景などを頭でっかちに考察しつつ、物語や歴史に登場する料理を作っています。お仕事のご依頼等については、お問い合わせフォームもしくはinfo@saigengohan.comよりどうぞ。

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