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ミケランジェロのお使いメモ|トルテッリ・イン・ブロード

本日9/8はイタリアルネサンス期の彫刻家・画家であるミケランジェロ・ブオナローティの代表作、「ダビデ像」が初公開された日。

不朽の名作を残した偉大な芸術家にちなんで作るのは、彼が使用人にあてた「お使いメモ」に記されたある料理です。

メモから分かるミケランジェロの食事

ミケランジェロが使用人に渡したメモにある料理とは

ミケランジェロについては彼が使用人にあてた直筆のメモが残っており、今でもフィレンツェにあるカーサ・ブオナローティ美術館のオンラインアーカイブで目にすることができます。

ページ下部中央の列にある資料がそれですね。古い時代のイタリア語なのはともかく、手書き文字読みづらい……。

ということで、英訳されたものを探したのがこちらです。

つぶやいてる人、そしてSNSありがとう。ありがとう。

イラスト付きで示されたメモは買い物リストとのことで、3食分の料理や食材名が書かれています。

内容についてはニシンにトルテッリ、フェンネルスープ、アンチョビそしてぶどう酒など。

文字が読めない使用人に向けたものなのでイラスト入りなんですが、意外にゆるいタッチですね。

ピエタや『最後の審判』などの荘厳な作品を手がけたミケランジェロさんの、ちょっと可愛い一面を見たような気がします。ほっこり。

材料の考察

さて、ミケランジェロのメモにもせっかく記載があることですし、考えるまでもなく再現するメニューは「トルテッリ」に決まり。

大きさでトルテリーニ・トルテッリと呼び名が変わるこちらは、パスタの中にひき肉やチーズなどのペーストを詰め、スープに入れたりソースなどをかけて食べる料理。

豚ひき肉にモルタデッラハム、パルメザンチーズなどを合わせたフィリングをパスタに詰め、スープに入れて食べる「Tortellini En Brodo(トルテリーニ・イン・ブロード)」は人気があり、現地ではクリスマス時期に味わう伝統料理なんだそうです。

いいですね、シンプルで美味しそう。メニューが決まったところで考察開始。

再現料理ブログなのでここからが本番。フィリングやらスープの具やらについてもめんどくさく掘り下げて行きますよ!

割とよく見かけるサイズ感のトルテリーニ。
小さければ小さいほど良いそうな。

まずミケランジェロのメモには明確に「トルテッリ」とあるので、パスタについては現在よく見かける指先サイズのトルテリーニより大きめに作る感じでしょう。一つクリア。

お次はフィリングについて。現在はさまざまなバリエーションがあるトルテッリですが、もともとはくず肉などの残り物を美味しく食べるため考えられた農民料理だったようです。

豚肉やハム・ソーセージなどの切り落としにチーズを加えたものがポピュラーなので、フィリングもこの方向で。

最後にパスタに添えるソースやスープについて。素朴な農民料理ということを考えると、とろみづけに油脂を使うソースよりもスープ系がイメージに合いそうです。

スープで考えるとして、問題はどんなスープかということ。

イメージとして澄んだスープをかけていただく伝統的なトルテリーニ・イン・ブロードは近いんですが、このレシピだと出汁を取るのに使った野菜類は(少なくともこの料理内では)食べないんですよね……。

ミケランジェロは食に無頓着だったらしいので、野菜類をわざわざ別にして食べるってこともなさそう。

トルテリーニ・イン・ブロードによく使われるセロリやにんじん、玉ねぎはミネストローネのように具として食べるスタイルでいきましょう。

さて、もろもろ出揃ったのでレシピを組み立てていきますよ。

トルテッリ・イン・ブロードを作ってみよう

ころんと可愛いトルテッリ。
どことなくさるぼぼ感ある気がします。

パスタ作りが少々やっかいですが、タリアテッレなどのように均一に切る必要がないので失敗は少ないはず。

卵をたっぷり使った茹でたての生パスタは格別ですから、ぜひ一度お試しを。

ミケランジェロのお使いメモ|トルテッリ・イン・ブロード

トルテッリの型抜きをするのに直径6-7cmのセルクルかグラスなどがあると便利です

材料(2人分)

  • パスタ生地
  • 薄力粉 120g

  • 強力粉 80g

  • 卵 2個

  • オリーブオイル 大さじ1

  • 塩 ひとつまみ

  • フィリング
  • 豚ひき肉 100g

  • 生ハム 50g

  • ソーセージやサラミ・ベーコンなどの塩蔵肉 お好みで

  • 粉チーズ 大さじ1

  • ナツメグ 少々

  • スープ
  • 玉ねぎ 1/2個

  • にんじん 1/2本

  • セロリ 1/3本

  • コンソメキューブ 1個

  • 水 600ml

作り方

  • パスタ生地の準備
  • 大きめのボウルに粉類と塩を入れ混ぜておく
  • オリーブオイルと卵を割り入れ、フォークなどで少しずつかき混ぜる
  • 全体がぽろぽろの状態になってきたら、体重をかけながらツヤが出てくるまで手でよく練る
  • ラップをかけ最低1時間ほど冷蔵庫で休ませておく
  • フィリングの準備
  • 生ハム・ソーセージやベーコンなどは細かなみじん切りにしておく
  • ボウルに全ての材料を入れ、よく練ってまとまればフィリングは出来上がり
  • スープの準備
  • 玉ねぎ・にんじんは1cm程度の角切りに、セロリも同じくらいの大きさにカットしておく
  • 鍋で湯を沸かしてコンソメを加え、野菜を全て入れ柔らかくなるまで煮る
  • 仕上げ
  • パスタ生地を3分割し、めん棒で2mm程度の厚さに伸ばす(めん棒に巻きつけながら押し引きすると伸びやすい)
  • 直径6-7cmほどのセルクルもしくはグラスの口などで円形に抜いていく
  • 出来た生地にフィリングを載せ、まわりに水をつけて餃子を包む要領で(ヒダは寄せなくてOK)たたむ
  • 生地の両端を合わせてリング状にすればパスタの完成
  • 野菜スープを沸騰させてパスタを入れ、浮き上がってから3-4分ほど火を通せば出来上がり

ポイント

  • 冷蔵庫で休ませるほどコシのあるパスタになりますが、その分伸ばす際に大変になるのでご注意を。寝かしは1時間程度で十分だと思います。

食後のヒトコト

ぷりぷりもちもちのパスタに肉のうまみが凝縮したチーズの香るフィリング、それにスープに入れた野菜の自然な甘みがしみる……。

プチ餃子といった感じで一つ一つのパスタは小さめですが、とても食べ応えがあります。卵をたっぷり使った打ち立てパスタは格別ですね。大満足。

トルテッリについては代用品として餃子の皮で簡単に作ることもできるんですが、大変でも一度は試してほしい美味しさです。

なお、今回の料理ではパスタ以外あえて塩こしょうで味付けをしていません。理由は簡単で、この時代にはどちらも貴重品で気軽には使えなかっただろうから。

でも塩蔵肉である生ハムやソーセージなどの割合が多めなので、塩なしでも物足りないということはありませんでした。

食にあまり興味がないミケランジェロの心にも、こんなトルテッリなら響いたでしょうか?

ルネサンスの偉大な芸術家の意外な一面ににやりとしながら、今回もごちそうさまでした。

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  • この記事を書いた人

宵闇

作者の心情や時代背景などを頭でっかちに考察しつつ、物語や歴史に登場する料理を作っています。お仕事のご依頼等については、お問い合わせフォームもしくはinfo@saigengohan.comよりどうぞ。

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