古代エジプトの平焼きパン・アエーシ

記事には広告が含まれます 再現料理 海外の作品

アサシンクリード オリジンズ|古代エジプトの平焼きパン:アエーシ・バラディ

今回再現するのは、『アサシンクリード オリジンズ』のゲーム世界に登場する古代エジプトの平焼きパン。

古代エジプト期のパンとは、果たしてどのようなものだったのでしょうか? 古代から食べられていたパンの中から現在でも親しまれている「アエーシ・バラディ」を作り、味わって確かめていきましょう。

古代エジプト人が食べていたパンとは

ビール作りにも使われた古代の平焼きパン

ピラミッドを前に進む隊商のイメージ

諸説あるものの、「古代エジプト」とは紀元前3000年頃にはじまった第一王朝時代から、紀元前30年頃のプトレマイオス朝時代の滅亡までを指す、非常に長い時代区分です。

古代エジプトというとピラミッドが建造された時代のことを連想しがちですが、『アサシンクリード オリジンズ』の舞台は、それより3000年ほども後の時代のこと。

首都をアレクサンドリアに据え、ギリシアの文化も融合した独自のヘレニズム文明が栄えたこの時代。

農耕や工芸の技術レベルも相当高くなっており、ゲーム中では古代エジプト人の主食であったパンについても、現代のものに近い石窯で焼かれているところを目にすることができます。

伝統的な石窯オーブンのイメージ

通常のゲームプレイでも各所にあるパン工房を訪れることはできるのですが、アサクリには古代史の専門家らが監修を行なった歴史のテーマツアー「ディスカバリーツアー」があるため、解説を聞きながら古代のパン作りの様子をじっくりと観察。

ビールの醸造場に併設された野外のパン工房で生地をこねる職人の姿や、ビールの原料として使われるパンが壺に入れられている様子などを、さまざまな角度から見ることが可能です。

古代のビール研究についてはキリンビールの特別プロジェクト「古代エジプトビールの再現」も面白いのですが、再現された古代の世界を疑似体験しながら巡れるのは楽しいですね。

パン生地をこねる職人の手

なおディスカバリーツアーでもゲーム本編でも、パンの名前について触れられることはないのですが、古代エジプトのパンというとぺたんこな平焼きパンが一般的。

ツアー中のパン工房でもこの平焼きパンの姿を確認できるので、再現するなら平焼きタイプでしょう。

パンについては新王国時代でも約40種ほどの種類があったことが確認されているため、平焼きパンと一口に言っても色々あるのですが、ここは現代も食べられているオーソドックスなものがいいかな…… 。

先ほどのキリンビールの特別プロジェクト内でも古代のパンとして紹介されていることだし、「Aish(アエーシ・エイシ)」なんかはどうだろう。

こんがりと焼けたポケットブレッド

プロジェクト内のレシピでは詳しく記載されていませんが、このアエーシは生地の中が中空になったポケットブレッドと呼ばれるパンの一つ。

同種のパンだと「ピタ」がよく知られていますが、アエーシもエジプトのローカルフードとして有名です。

「Aish=命」という名前も生きる上で欠かせない存在として根付いていたことを伺わせますし、再現するのはアエーシに決定で良さそうですね。

参考:https://www.academia.edu/35760803/The_Pharaohs_Kitchen.pdf

https://www.trekearth.com/gallery/Africa/Egypt/Inland/Alexandria/Alexandria/photo1010700.htm

材料の考察

粒がはっきりと分かる全粒粉

さて、アエーシには小麦粉だけの「Aish Shamsi(アエーシ・シャムシ)」と、全粒粉でできた「Aish Baladi(アエーシ・バラディ)」の2種類ありますが、古代エジプト期のものなら後者が近そうです。

製粉技術の発達していなかった時代のものなので現代の全粒粉とは相当違うでしょうが、雰囲気は感じられそう。

とはいえ、グルテンが形成されにくい全粒粉だけだと生地を膨らます難易度はぐぐっと上がるため、強力粉+全粒粉で作るのが安全かな?

後はイーストと塩、水があれば材料はOK。さっそく作っていきましょう。

アエーシ・バラディを作ってみよう

アエーシのアップ

アサシンクリード オリジンズ|古代エジプトの平焼きパン:アエーシ・バラディ

材料(6枚分)

  • 全粒粉 150g

  • 強力粉 50g

  • ドライイースト 小さじ1

  • 塩 小さじ1/2

  • 人肌程度のお湯 1/2カップ

作り方

  • 大きめのボウルに小麦粉と塩・イーストを入れ、箸などで攪拌しておく
  • 1に人肌程度のお湯を少しずつ注ぎながら混ぜ合わせ、まな板などの上でしっかりとこね上げる(薄い膜状に広げても生地がちぎれない程度まで)
  • 生地にラップをし、1時間ほど室温に置いて発酵させる
  • 生地が2倍ほどの大きさに膨れたらガスを抜き、6等分にして10分ほど休ませる
  • 打ち粉をしたまな板の上でめん棒を放射状に転がし、12cm程度の円形に伸ばす
  • オーブンペーパーを敷いた天板に生地を並べ、250℃に予熱したオーブンの上段で6-7分ほど焼く
  • 焼き上がったらオーブンから出さず、そのまま置いて粗熱が取れれば出来上がり

ポイント

  • 生地を膨らますためのポイントは2つ。「しっかりこね上げること・できるだけ高温で焼くこと」なので、より高温にできる魚焼きグリルやオーブントースターがあるなら、そちらを使うのがおすすめです。

食後のヒトコト

中が空洞になったアエーシ
ぱくっと開いた口に好きな具を詰めて
サンドイッチにするのもいいですね

全粒粉が入るとグルテンが形成されにくく、薄力粉や強力粉だけのものに比べて生地の膨らみが悪くなると聞いていましたが、やっぱり均等に膨らますのは難しいですね。

でも、たとえ上手く膨らまなくてもキッチンばさみなどで切り開けばポケット状にすることはできますし、トースターでカリカリに焼いても美味しく食べられます。

古代の人々も野菜を煮たスープのような料理と一緒にパンを食べていたようなので、現地で採れるオクラやモロヘイヤなどのスープと一緒なら、より雰囲気を楽しめそうです。

どんなに苦心しても食品に入り込む砂との戦いで、歯の摩耗も極端に早かったという古代エジプト。

砂が入っていないどころか、こんなにも上等な粉を使ったパンなんて夢のまた夢だったでしょう。ファラオだって食べられなかったはずの、超絶贅沢品ですね。

手軽に美味しいパンを食べられる喜びを噛みしめながら、今回もごちそうさまでした。

再現料理のこぼれ話などはTwitterで!

Twitterはこちら

Instagramはこちら

OFUSEはじめました!

サポートしてもらえると喜んで、より面白い料理ネタ探しや素敵食材・レストラン紹介などに励みます

  • この記事を書いた人

宵闇

作者の心情や時代背景などを頭でっかちに考察しつつ、物語や歴史に登場する料理を作っています。お仕事のご依頼等については、お問い合わせフォームもしくはinfo@saigengohan.comよりどうぞ。

-再現料理, 海外の作品
-