1492年の10月12日は、探検家クリストファー・コロンブスがアメリカ大陸に到達した日。
この日にちなんで作るのは、新世界とされたメソアメリカの文化圏で食べられていたアボカド料理の「ワカモレ」。
コロンブスの到達により、ワカモレにどんな変化が起きたのかを味わって確かめていきます。
コロンブス交換で変わった世界の食
メソアメリカの伝統料理「ワカモレ」とは
コロンブスの航海によってもたらされた「コロンブス交換」で、新世界の食物であるじゃがいもやトマト・チョコレートなどがヨーロッパの食文化に取り入れられていったのは、よく知られているところでしょう。
アボカドを使ったディップ料理としておなじみの「GUACAMOLE(ワカモレ・グァカモレ・ガカモーレ)」は、逆に新世界側が影響を受けたものの一つ。
コロンブス交換の前後でレシピに変化があったメニューなのだそうです。
もともとアメリカの先住民たちが食べていたワカモレは極めてシンプルな料理で、潰したアボカドのみ、もしくはそれに塩と唐辛子を少し加えた程度のものだったとか。
けれどアボカドの持つ栄養価の高さ・味の良さから現地では大変人気があり、昔から愛されてきた食べ物でした。
参考:https://tenochtitlan.omeka.net/exhibits/show/guacamole
植物であるのにも関わらず、バターのように濃厚なアボカドを使ったワカモレ。
その味わいは、新大陸に上陸してきたスペイン人たちの舌も魅了していきます。
素朴ながら美味しいアボカド料理を気に入った彼らはさらに自分たち好みの味にするべく工夫を重ね、ライムやコリアンダー、トマトなどを加えてアレンジしたそうで。
これが今日まで伝わり、現在の私たちがよく知るワカモレの味になっていったというわけですね。
余談ですが欧米圏のSNSや料理動画では、食べ物の味について「バターのような舌触りや風味が大好き!」的に表現するコメントをけっこう見かけます(面白いところだと、サバの塩焼きの味を「バターのような脂で美味しい」としてたり)。
特に食が多様化していない15、6世紀当時のことですから、果実なのにバターのようにねっとりクリーミーなアボカドとの出会いはきっと、大きな衝撃だったに違いありません。
材料の考察
さて。今回はちょっと趣向を変えて、コロンブス交換前後のワカモレを作り、その味を比較してみるという試み。
元がシンプルな料理なので材料も限られていますね。コロンブス交換前では、アボカド以外に使うのは塩と唐辛子だけですし。
コロンブス交換後のワカモレについては、玉ねぎ・トマト・ライム・コリアンダー(パクチー)が材料としてメジャー。
考察というほどのものでもなくさくっと材料が出揃ったので、早速ビフォー/アフターコロンブスのワカモレ作りのスタートです。
コロンブス交換前後のワカモレを作ってみよう
ワカモレ ビフォー/アフター コロンブス
材料
- ワカモレ ビフォー コロンブス用
アボカド 1個
塩 ひとつまみ
チリペッパー 適量
- ワカモレ アフター コロンブス用
アボカド 1個
トマト 1/2個
玉ねぎ 1/8個
パクチー 1束
ライムもしくはレモン果汁 小さじ2
塩 ひとつまみ
チリペッパー 適量
作り方
- ワカモレ ビフォー コロンブス
- アボカドはカットして皮と種を取り、マッシュする
- 潰した1に塩とチリペッパーを適量加え、味を整えれば出来上がり
- ワカモレ アフター コロンブス
- 玉ねぎ・トマト・パクチーはみじん切りにしておく
- アボカドはカットして皮と種を取ってマッシュし、ライムジュースを加えて混ぜる
- 1の野菜を加えてよく混ぜ、塩とチリペッパーで味を整えれば出来上がり
ポイント
- 玉ねぎが苦手なら、細かく叩いて30秒ほど600Wのレンジにかけてから加えても。食べやすく、でも風味もプラスしてくれます。
食後のヒトコト
まずはコロンブス交換前のワカモレから。
うん、アボカドそのままを活かした素直な味で美味しいなあ。
ほぼ素材のままの味わいなので、フルール・ド・セルのような美味しいお塩を使うといいですね。アボカドの油分で辛みが相殺されるので、チリは多めに加えるとアクセントになります。
お次はコロンブス交換後のアフターワカモレ。
こちらはパクチーとオニオンが効いていてスパイシー。食が進むパンチのある味わいで、ディップにぴったりです。
今回はクラッカーに載せていただきましたが、野菜スティックに絡めて食べるのも良さそう。
見た目からして全くの別物の2つでしたが、どちらにも良さがあり、甲乙つけがたい味でした。
それにしてもアボカドについては環境負荷が高い作物であることを知ったため、最近ちょっと買うのを控えていたんですが、やっぱり美味しい……。
上の記事でも言われているように、現時点だと環境に配慮したアボカドを一消費者の立場で選ぶのは難しいでしょう。
でも、食べるのであれば無意識に買うのではなく、できることを探っていきたいところですね。
15世紀のスペイン人たちも魅了されたアボカドの今後を考えつつ、今回もごちそうさまでした。